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糖尿病 予防と早期発見・早期治療が大切!

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更新日: 2023.08.01
糖尿病 予防と早期発見・早期治療が大切!
この記事を書いた人:清水杏里先生

ワーカーズドクターズ産業医 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医

ワーカーズドクターズ産業医 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医

糖尿病は症状が出たときには既に進行して、怖い合併症を引き起こすこともあります。
今回は、糖尿病の症状や治療、予防法について詳しく解説します。

糖尿病とは

血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高い状態が続く病気です。重症になると尿中の糖分が高くなり、甘いにおいがするため「糖尿病」という名前がついています。初期には症状がありませんが、進行すると網膜症腎症神経障害などの重篤な合併症を引き起こし、生活の質を大きく下げることが問題になります。

平成28年「国民健康・栄養調査」では「糖尿病有病者」と「糖尿病予備群」はいずれも約1,000万人と推計されており、糖尿病有病者の割合を男女別で見ると、男性 16.3%、女性 9.3%という結果でした。

血糖値とは

血糖値は、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。食事中の炭水化物が消化・分解されてブドウ糖になり、吸収されて血液に入ります。血糖値は食前に低く、食後に上がります。食前の血糖値は健康な方で約70?100mg/dlの範囲です。

食事を摂取して血糖値が上昇すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、ブドウ糖が体内の細胞に取り込まれて、血糖値が低下します。糖尿病の方はインスリンがうまく分泌されずに不足しているか、分泌されても十分に働かず、血糖値が慢性的に高くなっています。

糖尿病の症状・合併症

血糖値が高い状態が続くと、のどが渇く、飲み物をたくさん飲む、尿の量が増える、疲れやすい、体重が減る、などの症状がでます。また、手足のしびれも初期に現れやすい症状です。

血糖値が慢性的に高い状態が続くと、血管が傷ついて硬くなり、「動脈硬化」を起こします。血管が硬くなると破れたり、詰まりやすくなります。脳の血管が破れたり詰まったりすると脳卒中になり、心臓の血管が詰まると心筋梗塞になります。また、糖尿病が進行すると、目の網膜や腎臓、神経を傷つけて「三大合併症」と呼ばれる網膜症、腎症、神経障害を引き起こします。

糖尿病の三大合併症

 

【網膜症】進行すると目の血管が破れ、
失明する

 【腎症】進行すると腎臓が働かなくなり、
 透析になる(週3回、4時間ベッド上)

【神経障害】
進行すると手足のしびれや痛み、麻痺が起きて、足の指
先に怪我をしても気づかず、加えて糖尿病のため怪我の
直りが遅くなり、指先から足が腐り、「壊疽」という状
態になります。壊疽が進行すると、足を切断する必要が
生じます。

神経障害

糖尿病の診断

空腹時の血糖値を見るほか、採血検査でわかる「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という値を指標に使います。血液中のヘモグロビンの中で、ブドウ糖と結合しているものを「HbA1c」と呼びます。血糖値が高い状態が続くと、HbA1cの値が増加します。

血糖値は直前の食事の影響で大きく変化しますが、HbA1cは過去1?2ヶ月の血糖値を反映します。糖尿病は何回か検査を行って診断しますが、「空腹時の血糖値が126mg/dl以上」「食後の血糖値(随時血糖)が200mg/dl以上」「HbA1cが6.5%以上」の場合、糖尿病と診断される可能性が高くなります。

糖尿病の治療

糖尿病の治療には、運動療法・食事療法・薬物療法(経口血糖降下薬・
インスリン治療)の3本柱があります。まずは食事療法・運動療法で血
糖値をコントロールし、肥満を解消します。

食事・運動療法を数カ月続けて改善がなければ、内服薬を始めます。
内服薬を飲んでも血糖値が下がらない場合や、合併症がある場合、ま
たは妊娠中の方は「インスリン治療」といって、細い針のついた注射
器でお腹や太ももなどに、1日数回インスリンを注射します。

糖尿病の治療

糖尿病の予防法

糖尿病の予防には、病気の進行度によって3段階の予防があります。

  • ◆ 1次予防…生活習慣の改善によって糖尿病を発症する手前で防ぐ
  • ◆ 2次予防…発症した後、生活に気を付けて血糖値を良好な範囲に保つ
  • ◆ 3次予防…合併症の発症をくい止める

生活習慣としては、以下のことに気を付けるようにしてください。

  • _ カロリーの高い食事をとりすぎない(腹八分目を心がける)
  • _ 野菜や大豆製品、海藻、きのこなどの食物繊維を多くとる
  • _ 適度な運動をする
  • _ お酒を控える
  • _ たばこを吸わない
糖尿病の予防

食事量は減らせばいいというわけではなく、適正な食事量が大切です。また、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素の過不足がないよう、様々な食品を食べることが大切です。

「糖尿病になってしまったら、甘いものは食べられない」というわけではなく、食事量に気を付ければ食べることができます。「好き嫌いなく、腹八分目で食べる」ことが大切です。また、ジュースなどの甘い飲み物をよく飲む人は、糖尿病のリスクが高くなりますので、注意が必要です。

まとめ

糖尿病は、初期にはほとんど症状がないため見逃されやすい病気ですが、症状が出たときには糖尿病が進行していて、治療が難しくなっていることもあります。

合併症を発症してしまうと、生活の質が大きく下がってしまうため、予防と早期発見・早期治療が大切になります。年に1度は健康診査を受け、自分の血糖値を確かめるようにしましょう。

肥満の方は糖尿病のリスクが高くなりますが、痩せている方も糖尿病になる可能性はありますので、食事や運動など、日々の生活習慣に気を付けるよう心掛けてください。

併せて読みたい記事はこちら
糖尿病ってどんな病気?

【イラスト】清水杏里

<参考文献>

平成 28 年 国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf(厚生労働省)

糖尿病を改善するための運動 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-005.html(e-ヘルスネット)

糖尿病の食事 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-004.html(e-ヘルスネット)

血糖値 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-085.html(e-ヘルスネット)

糖尿病 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-002.html(e-ヘルスネット)

糖尿病 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html(e-ヘルスネット)

公開日: 2022.05.12
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