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【2022年改正】女性活躍推進法の改正内容と企業に求められる対応を解説

  • 産業保健
更新日: 2023.08.01
【2022年改正】女性活躍推進法の改正内容と企業に求められる対応を解説
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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近年、女性にとって働きがいのある職場づくりが求められています。

その一方、平均勤続年数や賃金格差、管理職を占める割合などの男女格差は縮小傾向にあるものの、依然として残っているのが現状です。

そこで、この記事では2022年4月・7月に改正された女性活躍推進法について解説します。とくに、新たに義務化の対象となる企業経営者や担当者は参考にしてみてください。

女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、仕事で活躍したいと希望するすべての女性が働きやすく、かつ長期的にキャリアを形成できるように後押しする目的で成立した法律です。

2016年4月から施行され、2025年度までの期限が定められている時限立法でもあります。

同法は一定の条件を満たす企業などの事業主に対して、次のような取り組みを義務付けています。

  • ・女性の活躍状況の把握や課題分析(女性採用の割合や男女の平均勤続年数の差異など)
  • ・上記を踏まえた一般事業主行動計画の策定・届出公表
  • ・女性の活躍に関する情報公表

こうした取り組みを求めるうえで、女性活躍推進法には以下3点の基本原則があります。

女性に採用・昇進の機会を積極的に与えること

まず、キャリアにおける採用・昇進において、女性に男性と同水準の機会を与えるのが大原則です。

企業の採用選考や人事評価に「対象が女性であること」に対してバイアスをかけず、むしろ積極的に支援する必要があるでしょう。

また、現代においても問題となっているのが「マミートラック」です。マミートラックとは、女性が産休・育休を経て職場に復帰した際、本人の希望に関係なく重要な業務を割り当てられない、もしくは単純な作業しか任されずに出世コースを外れてしまう事象です。

そのため、産休・育休を原因とするキャリアアップの阻害を避け、女性が安心して職場に戻れるような制度も必要となります。

女性が仕事と家庭を両立させるために必要な環境を整備すること

女性が仕事と家庭を両立するためには、長時間労働の改善や多様な働き方の受容など、抜本的な労働環境の見直しが必要になります。

少子高齢化や共働き世帯の増加によって「男は仕事、女は家庭」の時代は過去の産物になりつつあります。家事・育児介護などの家庭生活の負担は男女がバランスよく引き受けることで、互いに仕事と家庭生活の充実を実現できるでしょう。

したがって、女性だけでなく男性の家庭生活への参画を推進するための取り組みも重要です。

仕事と家庭の両立に関して、女性本人の意思が尊重されること

この原則は、女性本人の意思が尊重される労働環境の重要性を呼びかけています。

同じ女性であっても、「積極的にキャリアアップを目指したい」「自身のライフイベントのために退職を検討したい」「キャリアとライフイベントを両立させたい」といったさまざまな考え方が存在します。

これらの考え方のいずれかを強制するのではなく、公正に機会を与え、あくまで判断は女性本人に委ねなければなりません。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「女性活躍推進法について」

【2022年4月】における女性活躍推進法の改正内容

女性活躍推進法は企業に対し、女性の活躍を推進する目標設定とそれを達成するための計画(一般事業主行動計画)策定、および自社の女性活躍に関する情報の公表を求めています。

そして、対象となる企業の規模(常時雇用する労働者)によって義務か努力義務かが分かれています。

これに関連し、女性活躍推進法の2022年4月改正によって、常時雇用する労働者の条件が下図の通り変更となりました。

義務 努力義務
2022年4月1日以前 301人以上の企業

300人以下の企業

2022年4月1日以降 101人以上の企業

100人以下の企業

ご覧の通り、改正以前よりも女性活躍推進法の対象企業が拡大していることがわかります。

「常時雇用する労働者」の定義について

常時雇用する労働者とは、期限を設けず雇用しているすべての労働者です。つまり、雇用形態は関係なく、正社員、契約社員、パート、アルバイトなどを包括します。

ただし、派遣社員については派遣元の会社の労働者となるため、派遣社員の数を除いて従業員数を計算しましょう。

▼関連記事はコチラ
「101人以上従業員を抱える企業が知っておきたい一般事業主行動計画」

【2022年7月】における女性活躍推進法の改正内容

2022年7月に改正された女性活躍推進法では、「自社の女性活躍に関する情報の公表」に関する部分が変わりました。

従来より、公表すべき情報は以下の2大項目の中からそれぞれ1項目を選択する必要がありました。

女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供

  • ・採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • ・男女別の採用における競争倍率
  • ・労働者に占める女性労働者の割合
  • ・係長級にある者に占める女性労働者の割合
  • ・管理職に占める女性労働者の割合
  • ・役員に占める女性の割合
  • ・男女別の職種または雇用形態の転換実績
  • ・男女別の再雇用または中途採用の実績

職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

  • ・男女の平均継続勤務年数の差異
  • ・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
  • ・男女別の育児休業取得率
  • ・労働者の一月当たりの平均残業時間
  • ・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
  • ・有給休暇取得率
  • ・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率

これに対し本改正では、常時雇用の労働者が301人以上の企業に限り、新たに「男女の賃金の差異」を必須項目として追加しています。

男女の賃金の差異についての公表イメージは以下の通りです。

区分

男女の賃金の差異

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

全労働者 XX.X%
正社員 YY.Y%
パート・有期社員 ZZ.Z%

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「女性の活躍に関する『情報公表』が変わります」

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定の流れ

女性活躍推進法の2022年4月改正によって、より多くの企業に一般事業主行動計画の策定が求められるようになりました。

では、具体的にどのように策定すればよいのでしょうか。ここでは、行動計画の策定の主な流れについて解説していきます。

ステップ1.自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析

_動計画の策定にあたっては、自社の_性の活躍に関する状況に関して、状況把握や課題分析を実施し、その結果を踏まえる必要があります

まずは、以下の基礎項目(必ず把握すべき項目)の状況把握から始めましょう。

  • ・採用した労働者に占める_性労働者の割合
  • ・男_の平均継続勤務年数の差異
  • ・労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況
  • ・管理職に占める_性労働者の割合

これに加えて、自社の女性に対する評価制度やキャリアコース、教育制度が女性活躍推進の観点に適っているかを評価します。

ステップ2.行動計画の策定、社内周知、公表

女性活躍推進法の時限となる2025年度(令和7年度)までの期間で、おおむね2?5年間に区切り、定期的に_動計画の進捗を検証しながら計画を洗練させていきます。

策定・変更した_動計画は、非正社員を含めた全ての労働者に周知しなければなりません。周知の方法としては、事業所の_やすい場所への掲示、電子メールでの送付、企業内ポータルサイトへの掲載などが一般的です。内部に対してだけでなく、外部への公表も怠らないようにしましょう。

外部向けには、厚_労働省が運営するサイト「_性の活躍推進企業データベース」をご活用ください。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース 」

ステップ3.行動計画を策定した旨の届出

_動計画の周知・公表の後は、電子申請や郵送などの手段で、管轄の都道府県労働局に届け出ましょう。

<届出の結果、女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良な企業については、厚生労働大臣の認定「えるぼし」「プラチナえるぼし」を受けることができます。

各認定の詳細については参考資料をご覧ください。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「えるぼし認定、プラチナえるぼし認定」

ステップ4.取組の実施、効果の測定

行動計画は実施とフィードバックにより最適化していくとより効果的です。定期的に数値目標の達成状況や、_動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価しましょう。

▼参考資料はコチラ
「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」

まとめ

2022年に2度行われた女性活躍推進法の改正は、対象企業の拡大や情報項目の追加など、より女性が活躍しやすい社会の実現を後押しする内容です。

取り組みを義務付けられている企業の人事・総務労務担当者は、法的義務を果たすのはもちろん、同法の目指す「女性がより活躍しやすい社会」のビジョンを理解する必要があります。

行動計画の策定に必要な状況把握や課題分析には労務管理に関する項目もあるため、適宜産業医などとも連携しながら行動計画の策定に取り組みましょう。

▼関連記事はコチラ
「産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説」

公開日: 2023.01.17
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