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HPVワクチンは男性も接種すべき? メリットや公費助成の有無など気になる点を解説

  • 産業保健
更新日: 2023.08.01
HPVワクチンは男性も接種すべき? メリットや公費助成の有無など気になる点を解説
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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HPVワクチンとは、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒト・パピローマウイルス)の感染を予防することで、発症を防ごうというものです。子宮頸がんの予防と聞くと女性のみが接種するイメージが強いかもしれませんが、実際には男性の接種も重要であることが分かっています。

海外では男性への接種が推奨されている国もありますが、近年、日本でも男性のHPVワクチン接種が重要視されるようになってきました。今回は、なぜHPVワクチンの接種は男性にも必要なのか、接種における公費助成金の有無などについて解説します。

なぜ男性もHPVワクチンを接種すべきなのか?

HPVワクチンは女性だけでなく男性の接種も有効であることが明らかになっています。なぜHPVワクチンは女性だけでなく男性も接種すべきなのでしょうか。ここでは主に2つの理由について解説します。

HPVは性的接触により感染するから

1つ目の理由は、HPVは、女性だけが接種していても感染を防げるわけではないからです。たとえ女性側が接種していたとしても、HPVに感染した男性と性的接触をすることで感染する可能性があります。

HPVは一般的によくあるウイルスの1つであり、性交渉を経験したことのある女性の半数以上が感染していると考えられています。その一方で、HPVに感染していたとしても症状は現れないため自主的な予防は難しいでしょう。女性に起こる子宮頸がんの大半はHPVの感染が原因であるといわれているので、パートナーを守るためにも男性のHPVワクチンの接種は有効といえます。

HPVワクチンには尖圭コンジローマの予防効果もあるから

2つ目の理由は、HPVワクチンが効果を発揮するのは子宮頸がんだけではないからです。たとえば、4価HPVワクチン(ガーダシル)は、性感染症の1つである尖圭コンジローマに対して高い予防効果を発揮することが分かっています。尖圭コンジローマが起こると痛みのないイボを生じ、中には巨大化するケースもあります。現状では根治が難しく再発を繰り返す点も特徴です。

その他にも、HPVによって引き起こされる肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんなどにも予防効果が期待できます。これらのがんは男性に起こりやすいため接種は有効といえるでしょう。

日本における男性のHPVワクチン接種の現状

日本における男性のHPVワクチン接種は、世界的にみても遅れをとっているのが実情です。日本では、2020年12月より4価HPVワクチン(ガーダシル)の男性への任意接種が承認されました。

男女含めても、日本は海外諸国と比べて接種率が極めて低いといえます。日本以外の国の例をご紹介すると、特にカナダやイギリスなどをはじめとする先進国では接種率が非常に高く、8割を超える国もあるのです。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください」

男性のHPVワクチン接種には公費助成金が無い

なぜ日本は、諸外国と比べてここまでHPVワクチンの接種が遅れているのでしょうか。原因はいくつか考えられますが、現状の日本では男性の接種に関しては公費による補助等がない点が挙げられるでしょう。全額自己負担である点が大きく影響しているといえます。

日本では女性のみが定期接種の対象となっており、男性は未だ任意にとどまっています。最近は男性への接種を行う医療機関も増えていますが、自費で接種するため全3回で合計5?6万円ほどの自己負担が発生してしまいます。このような事態を受けて近年では、男性も女性と同様に公費でHPVワクチンを接種できる仕組みを確立すべきという動きも出てきています。

男性のHPVワクチン接種推進のために企業ができること

HPVワクチンは、性交渉を経験する前に接種することで特に大きな効果を発揮することが分かっています。そのため、10代での接種が推奨されていますが、未接種の場合は20代以降にワクチンを接種しても一定の効果があるといわれています。

男性社員のHPVワクチンの接種を推進することは、優秀な社員やそのパートナーを病気から守るために有効といえます。では接種を推進するために、企業はどのような取り組みができるのでしょうか。ここでは考えられる2つの取り組みをご紹介します。

HPVワクチンに関するリテラシー形成

まず、HPVワクチンの接種を推し進めるためには、知識を身に付ける必要があります。具体的には、ワクチンによってどのような効果が期待できるのか、なぜ女性だけでなく男性も打つことが重要なのかといった知識です。

男性の中には、HPVワクチンに対して女性が打つものというイメージを持っている人もいるかもしれません。男性社員に向けて、企業がHPVワクチンに関するリテラシー形成を図ることは有効といえるでしょう。産業医など専門家と連携しながら説明会や相談会の開催を行うなど、積極的に働きかけることが大切です。

HPVワクチン接種補助制度の確立

次に、HPVワクチンの接種の際に利用できる補助金制度を、企業が独自で確立することも有効といえます。日本ではまだ男性への補助制度が完備されていないため、前述したように接種に伴う自己負担が大きいのが実情です。

自己負担が大きいことが接種の進まない原因の1つといえるため、社員の負担を減らすために企業として独自で補助金制度を用意するのもおすすめです。接種の推進につながることが考えられます。

▼関連記事はコチラ
「産婦人科医が語る?女性が我慢せず働ける社会のために企業ができること」

まとめ

近年、日本でも男性のHPVワクチンの接種が推進されています。HPVは性交渉によって感染するため、パートナーを守るために男性のワクチン接種が有効といえます。また、接種によって、尖圭コンジローマを始めとする男性の病気の予防にもつながります。

その一方で、男性への公費助成金はなく接種に伴う費用はすべて自己負担となっています。優秀な男性社員やそのパートナーを病気から守るために、企業はHPVワクチンに関するリテラシー形成を図ったり、ワクチン接種補助制度を確立したりすることが有効といえます。

専門知識を持つ産業医などと連携しながら、サポートを行うことが接種の推進につながるでしょう。

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産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説

公開日: 2023.01.24
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