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アブセンティーズムとは?測定方法や企業にできる対策について

  • 産業保健
更新日: 2023.08.02
アブセンティーズムとは?測定方法や企業にできる対策について
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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近年、企業の健康経営を考えるうえで話題に上がることの多い「アブセンティーズム」という概念をご存じでしょうか?

アブセンティーズムは企業の生産性に影響を与えうる重要な指標であり、注目が高まっています。

当記事では、アブセンティーズムの概要や原因、測定方法、企業にもたらす損失、対策などについて解説します。

アブセンティーズムとは?


アブセンティーズム(absenteeism:長期欠席)とは、心身の不調を原因とした遅刻や早退、欠勤や休職などで勤務が困難になっている状態です。

アブセンティーズムに陥った従業員は出勤をストップしてしまうため、当人が関わるチームや組織に影響し、業務生産や業務効率の低下を引き起こすと考えられています。

アブセンティーズムの原因

アブセンティーズムの原因は、大きく分けて病気や怪我など身体の不調と、不眠や鬱などの精神的な不調の2つです。

また、女性特有の月経や月経前症候群(PMS)も、不調の程度によっては欠勤の要因になります。

従業員の自己判断や産業医による就業制限など、休む根拠にかかわらず、不調が原因で仕事をしていない状態はアブセンティーズムと見なされます。

アブセンティーズムとプレゼンティーズム

アブセンティーズムとよく一緒に議論されるのが、「プレゼンティーズム(presenteeism:疾病就業)」です。

プレゼンティーズムとは、出勤しているものの何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状態です。

アブセンティーズムは従業員の不調が「休み」という形で見えますが、プレゼンティーズムの場合は生産性への影響が見えにくい点が問題となっています。

プレゼンティーズムについての詳しい内容は関連記事をご覧ください。

▼関連記事はコチラ
プレゼンティーイズムとは?働き方改革を推進する上で重要な生産性指標

アブセンティーズムの測定方法


アブセンティーズムを数値として捉える場合、従業員が心身の不調により欠勤・休職した日数とイコールになります。

経済産業省が公表している「健康投資管理会計ガイドライン」では、アブセンティーズムの代表的な測定方法として、次の3つの方法が推奨されています。

  1. 1. 従業員へのアンケート調査
  2. 2. 欠勤・休職日数(代替指標)
  3. 3. 疾病休業者数・日数

3つの測定方法の中で最もアブセンティーズムを正確に計測できるのは、従業員へのアンケート調査です。アンケート内容は「昨年1年間に、自分の病気で何日仕事を休みましたか」といった質問項目で構成され、アブセンティーズムを自己申告してもらいます。

通常の労務管理では、欠勤・休職日数を把握できてもその休暇理由までは知ることができません。そこで、アンケート調査を採用することで、有給休暇を含む休暇取得のうち病気によって休んだ日数を把握できます。

何らかの理由でアンケート調査が難しい場合は、勤怠データから測定することになります。データのみではアブセンティーズムが過小評価される可能性があるため、可能な限りアンケートによって実情を測定しましょう。

▼参考資料はコチラ
経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版)」

アブセンティーズムが企業にもたらす損失

アブセンティーズムは従業員が働けていない日数を指すため、その損失はシンプルに以下の計算式で求められます。

「労働生産性損失額(円)= アブセンティーズム(日数)× 賃金(円)」

つまり、アブセンティーズムの測定結果は、企業の労働生産性をどれだけ損失したかを算出する計算に用いられます。

ただし、これはあくまでアブセンティーズムによる損失のみを算出する方法です。従業員の健康問題による損失の全体を把握するためには、その他従業員の健康関連総コストとして医療費や傷病手当金、労災補償費、プレゼンティーズムによる損失も総合して計算します。

従業員の健康問題が与える影響について金銭的に現状を把握し、その後必要に応じた効果的な対策を行っていきましょう。

アブセンティーズムを防ぐには? 企業にできる対策


アブセンティーズムは心身の不調により生じる状態のため、企業として個々の従業員に直接働きかけるのは困難です。そのため、企業にできる対策は組織的な健康経営の推進と心得ましょう。

健康経営は、従業員の健康管理について経営の視点から見る考え方です。

アプローチは多種多様で、適切な勤怠管理や職場環境の整備、健康診断結果を受けた施策(社食のヘルシーメニューやヘルスケアアプリの導入)など、課題に応じたものを多角的に採用します。

いずれにおいても、経営層と労務・人事担当者や安全衛生委員会との連携、決定事項の従業員への周知など、組織的な動きが重要です。

産業医と契約し、健康相談窓口を設置する方法はとくに有効です。少しでも不調を感じた時に相談できる窓口を設けることで、アブセンティーズムやプレゼンティーズムに陥るリスクを軽減できるでしょう。

産業医の導入について検討している企業は、以下の記事も参考にしてみてください。

▼関連記事はコチラ
産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説

まとめ

アブセンティーズムは心身の不調により勤務が困難になっている状態です。

健康経営を目指すうえで欠かせない指標になるため、可能な限り正確に測定しましょう。

従業員の健康問題を直接コントロールするのは困難ですが、中長期的に健康のための事業施策を策定し、PDCAサイクルを回していくことが重要です。

産業医などとも連携をしながら健康経営を目指し、アブセンティーズムの対策に取り組みましょう。

公開日: 2022.09.20
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