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更年期障害を抱える社員への職場の対応は? 女性の離職を防ぐためにできること

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更新日: 2023.09.05
更年期障害を抱える社員への職場の対応は? 女性の離職を防ぐためにできること
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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女性に起こる「更年期障害」という症状について、聞いたことがある方は多いでしょう。その一方で、症状やそれに伴う問題について正しく理解できている方は少ないのかもしれません。

働く女性が増加した近年では、更年期障害に悩む40~50歳代の女性は企業にとっても貴重な戦力といえます。企業側の更年期障害への理解が不足していると、最悪の場合、更年期障害を理由とした離職につながるケースもあるのです。

今回は更年期障害の概要とともに、仕事にもたらす影響、企業に求められる対応などについて解説します。

職場における更年期障害の実態


更年期とは、閉経前後の10年間のことを指します。この更年期に生じる多様な症状のうち、ほかの病気によるものではない症状を「更年期症状」といい、中でも重い症状で日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」と呼びます。

更年期障害は、主に40~50代の女性に起こります。「ホルモンケア推進プロジェクト」の調査によると、最近の5年で身体や体調に変化を感じている40~50代の女性は、実に77.6%にのぼることがわかっています。なお、まれに30代で更年期に入る方もいます。更年期障害とは、働き盛りの女性を悩ませる大きな問題の1つといえるでしょう。

更年期障害の症状と仕事にもたらす影響

2022年の連合東京の調査によると、更年期にさしかかる40~50代女性の回答者のうち、約4分の3が更年期障害と思われる何らかの症状を抱えていることが明らかになりました。具体的な症状には、以下のようなものがあります。

  • ・疲れやすい…41.5%
  • ・肩こり・頭痛…37.0%
  • ・イライラする…34.1%
  • ・頭痛・めまいがする…30.3%
  • ・やる気がおきない…30.2%
  • ・汗をかきやすい…26.5%
  • ・顔がほてる…20.2%

更年期の特徴的な症状には、「ホットフラッシュ」と呼ばれるほてりやのぼせがあげられます。また、集中力が低下する方も多く、これらの症状が仕事に影響を及ぼすと考えられるでしょう。

▼参考資料はコチラ
連合東京「生理休暇と更年期障害に関するアンケート 報告」

企業が更年期障害への理解を深めるべき理由


なぜ今、企業は更年期障害への理解を深めるべきなのでしょうか。主な理由について解説します。

健康経営を目指す企業による関心の高まり

経済産業省の調査によると、健康経営を推進する企業では、特に女性特有の健康問題に高い関心を寄せていることが明らかになっています。

女性特有の健康問題には、月経やPMS、妊娠や出産などさまざまな問題がありますが、その中の1つに更年期障害があります。近年、このような女性の健康問題に寄与する「フェムテック」への注目が高まっています。

フェムテックとは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」をかけ合わせて作られた言葉で、女性特有の健康問題を解決するためのテクノロジーのことです。実際に、生理周期を管理するアプリやオンライン診療など、女性向けのさまざまな製品やサービスが登場しています。社会で活躍する女性がさらに増加したことで、多様な企業がフェムテックに注目しているのです。

女性の健康課題に対するリテラシーの低さ

経済産業省の調査によると、女性の健康課題が労働損失や生産性の低下等へ影響を及ぼしていることを、70%以上の回答者が「知らなかった」または「わからない」と回答しています。

これには、男性や管理職だけではなく女性の回答も含まれており、女性自身の知識不足も課題であるといえます。

▼参考資料はコチラ
経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

更年期障害が離職につながることも


更年期障害を原因に仕事を退職する「更年期離職」を選択した方は、現在の40~50代で57万人に上るといわれています。さらに専門家によると、それに伴い年間で約6,300億円もの経済的損失が生じると推計されているのです。

以上のことから、更年期障害によって起こる問題に取り組まないことは、企業の経済的損失にもつながるといえるでしょう。

更年期障害に対して職場に求められる3つの対応


更年期障害への理解を深められたとして、具体的にはどのような対応が求められるのでしょうか。ここでは、企業にできる3つの対応について解説します。

1. リテラシーの向上に努める

まずは、女性の健康問題に対するリテラシーの向上に努めることが大切です。先述の通り、女性の健康問題に対するリテラシーの低さが問題となっており、企業が女性の健康問題に取り組む場合、まずはどのような健康問題が起こる可能性があるのか等リテラシーを高めることが重要です。

女性特有の健康問題について、セミナーを開催し正しい知識をインプットする機会を設けたり、制度を周知したりするなど、社内のリテラシー向上に努めましょう。

2. 柔軟な働き方を推進する

次に、柔軟な働き方の推進です。更年期障害を原因とする離職を防ぐためには、フレックス制度やリモートワーク、治療のための休暇を設けるなど、柔軟な働き方を可能にする必要があります。

女性社員一人ひとりが体調にあわせて働き方を自由に選択できるようになれば、更年期障害と付き合いながら仕事を続けられる社員が増えるかもしれません。これまで取り入れていなかった企業も、この機会に柔軟な働き方を推進してみてはいかがでしょうか。

3. 相談窓口を設置する

最後に、相談窓口の設置があげられます。女性社員が、気軽に自身の健康問題について相談できる窓口を設置するのも有効でしょう。先述の通り、更年期障害の症状は女性自身も自覚しづらいケースがあるため、産業医など専門家に相談できる環境を整えることが重要です。

産業医とは、企業と契約して訪問や常駐を行いながら社員の健康管理について指導・助言を行う医師のことです。まだ産業医を導入していない場合は、この機会に導入の検討をおすすめします。

▼関連記事はコチラ
産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説

まとめ

更年期障害は、女性にとって避けては通れない健康問題です。企業にとっては、その症状や問題について正しく理解し対応することで、女性社員の離職を防ぎ経済的損失を可能な限り抑えることができるでしょう。

繰り返しになりますが、更年期障害に悩む40~50代の女性は企業にとって貴重な戦力です。更年期障害の概要や、仕事にもたらす影響について正しく理解し、積極的に対応しましょう。

公開日: 2022.09.13
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