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今知っておきたい!女性版骨太の方針で掲げられた「フェムテックの推進」とは?

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更新日: 2023.08.01
今知っておきたい!女性版骨太の方針で掲げられた「フェムテックの推進」とは?
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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近年、注目を集めている「フェムテック(Femtech)」。フェムテックは、Female(女性)と Technology(技術)を合わせた造語で、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する商品・サービスのことをいいます。日本政府は、「女性版骨太の方針2022(女性活躍・男女共同参画の重点方針2022)」内で2年続けて「フェムテックの推進」を示しています。今回は、「フェムテックの推進」の内容をご紹介するとともに、掲げられた背景、今後期待される変化などについて解説します。

▼関連記事はコチラ
「フェムテックとは?意味やサービス事例を詳しく解説」

女性版骨太の方針で掲げられた「フェムテックの推進」の内容

「女性版骨太の方針」とは、女性の活躍や男女共同参画を推進するために、重点的に取り組むべき内容を定めたものです。同方針には、「フェムテックの推進」が盛り込まれています。具体的にどのような内容が示されたのか、ご紹介していきます。

2021年度に初めて盛り込まれた「フェムテックの推進」

「フェムテックの推進」が初めて盛り込まれたのは、2021年度でした。2021年6月18日に「女性版骨太の方針」が閣議決定されました。そこには「フェムテックの推進」が含まれており、フェムテックの推進に国全体で取り組むことが示されています。具体的に、次のような2つの方針が発表されました。

1つ目は、品質や性能が担保されているフェムテック製品を消費者へ提供できるように、薬機法上の位置づけや、規制の詳細等について産官で議論する機会を設けることです。

2つ目は、働く女性たちのライフイベント(月経や、妊娠・出産、更年期障害など)を原因とした希望していない離職を防ぐために、フェムテック製品やサービスの利活用を促進するシステム作りを支援することです。

2022年度には「フェムテックの更なる推進」が掲げられた

2022年6月3日に閣議決定された「女性版骨太の方針」では、「フェムテックの更なる推進」が掲げられました。具体的には、次の3つです。

1つ目は、フェムテック関連製品の法律上の位置付けと必要な規制の詳細等に関して議論し、必要であれば薬事規制の該当性や審査のカテゴリーに関して、個別企業の相談に応じることです。

2つ目は、働く女性のライフイベントを原因とした望まない離職等を防ぐため、フェムテック企業と導入企業、医療機関、地方公共団体等が連携した実証実験を行い、働く女性の就業継続を支援することです。

3つ目は、消費者等からの情報が提供された場合、その情報を関係府省庁間で共有し適切に対応することです。

▼参考資料はコチラ
男女共同参画局「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針)」

「フェムテックの推進」が女性版骨太の方針に盛り込まれた背景

なぜ上述したように「フェムテックの推進」が掲げられるようになったのでしょうか。主な背景として次のようなことが考えられます。

日本にもフェムテックが広がってきた

まずは、日本にフェムテックが普及するようになったことが挙げられます。女性の活躍やジェンダー平等への意識を持つ人たちが増えたことで、フェムテックに注目が集まったことが考えられます。これまで触れられてこなかった女性特有の健康問題についても、意見を言いやすい社会になったといえるでしょう。

近年、アメリカではフェムテック分野での起業が増えています。さらに投資額や市場規模も大きくなっているのです。日本も同様に、2020年頃からフェムテックを扱う企業は増加傾向にあります。

2020年に「フェムテック振興議員連盟」が発足

ご紹介したようにフェムテックに関心を持つ人たちが増える中、2020年10月30日には、自民党の「フェムテック振興議員連盟」(会長・野田聖子衆議院議員)が誕生しました。

2021年には、女性の健康課題をテクノロジーで解決するために、関連省庁、国会議員、有識者等が議論してまとめた提言を関係省庁に提出しています。このような活動もあり、「フェムテックの推進」が盛り込まれたことが考えられます。

国が「フェムテックの推進」を掲げることで期待されること

国が「フェムテックの推進」を掲げることで、今後どのようなことが期待できるのでしょうか。今後の展望について考えられることをご紹介します。

フェムテック産業の拡大加速

まずは、フェムテック産業のさらなる拡大です。日本政府は、フェムテック企業、医療機関、市区町村などが連携した実証事業をスタートしています。このような産官連携の取り組みから、フェムテック産業のさらなる拡大が期待されているのです。

株式会社矢野経済研究所の調査では、日本のフェムケア&フェムテック市場規模は、2019 年は約575億円、2020年は約597 億円だったことが報告されています。さらに、2021年は約 636 億円と見込まれており、拡大が加速していることがわかります。このような動きを受けて、参入を検討している大手企業も増えているといわれています。

結果的に経済全体にプラスに働く

経済産業省は、フェムテックによる日本国内の経済効果は、2025年時点で年間約2兆円と推計しています。これは、女性特有の健康問題(月経に伴う症状、不妊治療、更年期に伴う症状等)を原因に、望まない離職や昇進の辞退、勤務形態の変更をせざるを得なかった女性たちが、フェムテック製品やサービスを利用することを想定しています。その結果、仕事と両立できるようになった場合の給与相当額を推計しているのです。

このように、フェムテック産業が拡大することで、日本経済全体にメリットをもたらすことが期待されています。

▼参考資料はコチラ
株式会社矢野経済研究所「フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2021年)」
令和2年度産業経済研究委託事業「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査」

フェムテックで女性社員をサポートする企業の例

企業がフェムテック製品・サービスを導入することで、女性社員の健康問題の解決につながったり、不安を軽減できたりする効果が期待できます。その結果、女性たちは長期的なキャリアプランを描けるようになり、離職を防ぐことができるなどのメリットがあるでしょう。具体的な事例をいくつかご紹介します。

生理痛やPMSの悩みに寄り添う

生理痛やPMS(月経前症候群:月経前から発症する心身の症状)で悩む女性は少なくありません。生殖年齢にある女性の約7~8割は、腹痛や精神的不安などの何らかの症状が月経前にあるといわれています。月経前や月経中に仕事の能率が落ちるという女性は少なくないことが考えられます。

企業Aでは、このように月経に伴う症状で苦しむ女性たちの悩みを軽減するために、女性向けの健康情報サービスやオンライン診療システムを導入しました。さらに、企業が診療や低用量ピルの処方に伴う費用を負担する福利厚生制度をスタートしました。

妊活をサポートする

晩婚化に伴い、不妊治療を行う女性たちは増加傾向にあるといわれています。また、女性の社会進出が一般化したことで、働きながら妊活に取り組む女性は少なくないことが考えられます。

企業Bでは、女性社員の妊活と仕事の両立をサポートするために、産婦人科に関するオンライン相談の窓口を提供するフェムテックサービスを導入しました。不妊治療や流産などに関する悩みについて、専門家に無料で相談できる体制を築いています。

更年期の女性の健康問題に寄り添う

更年期の女性には、心身にさまざまな影響が出ることがわかっています。企業Cでは、このように健康問題を抱える更年期の女性社員のために、更年期の健康問題についてオンラインチャット形式で専門家に相談できるサービスを導入しました。

▼関連記事はコチラ
PMS(月経前症候群)とは 症状や治療法を理解してうまく付き合おう」


「産婦人科医が語る~女性が我慢せず働ける社会のために企業ができること」

まとめ

近年、日本ではフェムテックが推進されています。フェムテック分野の市場は拡大を続けており、今後はますます普及することが期待できるでしょう。企業もフェムテック製品・サービスを導入することで、女性社員の離職を防ぐ効果が期待できます。優秀な女性社員を継続的に雇用することができるため、大きなメリットといえるでしょう。ただし、導入する際には、優秀な専門家や外部機関との連携が欠かせません。たとえば、専門知識を持つ優れた産業医と相談しながら、適切なサポートを行うことが大切です。


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「産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説」

公開日: 2022.12.08
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