月経前症候群(PMS)  正しい知識で症状の改善を。周囲の理解も大切!

2022年03月24日【監修・イラスト】ワーカーズドクターズ産業医 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医 清水杏里先生

月経の 3~10 日前からつらい症状が現れる月経前症候群(PMS)。日常生活・社会生活に影響がある場合には治療の対象となります。
今回は月経前症候群(PMS)について治療法や症状の改善方法、周囲への理解の求め方についても解説します。

月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)は月経の 3~10 日前から発症する、様々な心や身体の症状です。通常、月経開始とともに軽減・消失します。発症の原因は詳しくわかっていませんが、女性ホルモンの変動や神経伝達物質の関係があるといわれています。

症状は、身体的症状(下腹部が張る、疲れやすい、腰痛、頭痛、むくみ、胸の張りなど)と、精神症状(気分が変わりやすい、怒りっぽい、気分が落ち込むなど)があります。
精神症状が主体で強い場合は月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)と呼ばれます。

生殖年齢の女性の約 70~80%が月経前に何らかの症状があるといわれていますが、日常生活・社会生活に影響がある場合には治療の対象となります。「社会生活が困難に感じる」というPMSの方は、女性のうち 5.4%で、PMDD の方は 1.2%と言われています。PMS、PMDD は幅広い年齢で発症しますが、思春期にやや多いといわれています。また、肥満(BMI 27.5以上) の方は有病率が高いと言われています。

月経前症候群の症状

月経前症候群(PMS)の治療法

まずはカウンセリングや生活指導、運動療法を行います。「症状日記」を記録し、症状の頻度、発症の時期、重症度などから病気の理解を促す「認知行動療法:CBT」というものも行われます。

また、アルコール摂取量を減らす、禁煙、規則正しい睡眠や生活、適度な運動も効果的です。カルシウム、ビタミンB6、マグネシウムをとることで症状が和らぐ場合があります。むくみや胸の張りに対して、利尿薬、鎮痛薬が処方されることもあります。多様な症状に対して、漢方薬の効果も期待できます。低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(女性ホルモン製剤)は、乳房の痛みやむくみなどの身体症状には効果がありますが、精神症状には効果がないようです。

欧米では SSRIs(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬が PMS、PMDD の第一選択薬ですが、日本では保険適用外となっています。そのほか、ホルモン製剤の貼付とレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS:子宮内に挿入する避妊器具)なども選択肢として挙げられます。それでも改善されない場合には、いくつかの治療法を併用したり、薬を飲んで排卵を抑制することも考慮されます(保険適用外)。

まとめ

月経に関する症状は人によって大きく異なります。月経前にイライラ、落ち込み、だるさ、頭痛などの症状があり、月経がはじまると症状が改善する場合にはPMSの可能性があります。「月経が始まればよくなるから」「薬に頼りたくない」と我慢してしまう方も多いようですが、日常生活や仕事上でつらさを感じている場合には、婦人科に相談することをお勧めします。症状がつらい時には、無理せず休むようにしましょう。

「デリケートな話題だから」と職場にご相談
しにくい方も多いかと思いますが、症状を事
前に相談しておく事で配慮が得られる場合も
あります。婦人科で診断書を書いてもらうと
いう方法もあります。

ご自分でできる工夫としては、禁煙、節酒、
規則正しい睡眠や生活、適度な運動が効果的
です。 同僚や部下の方に、周期的に不調にな
る方がいらっしゃる際には、事前に月経前症
候群:PMSの知識があるだけでも、配慮の仕
方や対処法が変わってくると思います。それ
ぞれの悩みに寄り添い、理解を示すことが、
働きやすい職場作りに繋がると思います。

月経前症候群の予防

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<参考文献>

産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020; 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会: 174-176