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DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)とは?企業が今取り組むべき理由

  • 産業保健
更新日: 2023.08.01
DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)とは?企業が今取り組むべき理由
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この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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SDGsやジェンダー平等が謳われる中、ダイバーシティ施策を掲げている日本企業は昨今多く見られるようになりました。これに関連し、取り組みが拡がってきている「DEI」をご存知でしょうか?この記事では、DEIの概要や企業が取り組むべき理由、今後の展望、実際に取り組む企業の具体的な事例などについて解説します。

今企業で注目されている「DEI」とは?

DEIとは、ダイバーシティ(Diversity:多様性)、エクイティ(Equity:公平性)、インクルージョン(Inclusion」:包括性)の頭文字を組み合わせた造語です。

2015年9月の国連総会において、「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」を実現するために「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」が掲げられました。DEIはSDGsに設定される17の目標との関連が深く、近年企業が注目する概念となっています。

まずはDEIが指す3つの言葉の意味と、企業との関連について見ていきましょう。

D:ダイバーシティ(多様性)

ダイバーシティ(多様性)とは、ある集団のなかで、人種・国籍・宗教・性別・性的指向・年齢・身体的障害の有無といったさまざまな属性を持つ人が分散している状態です。

また、ダイバーシティには「表層」と「深層」の二層構造があります。「表層」の属性は、年齢や性別、障害の有無など、先天的かつ個人の意思で変えにくいものとされます。一方で「深層」の属性は、知識やスキル、価値観、勤続年数など、後天的かつ流動的で、外観から見ただけでは判断できない内容です。

これに加えて、個人で異なる属性の「種類」や異なり方の「程度(距離)」、異なりが生み出す「格差」を考慮する必要があります。

E:エクイティ(公平性)

エクイティ(公平性)とは、社内の手続きや方針、およびリソースの配分において、各従業員が成功する機会を正当かつ公正に与えられているかどうかを表す指標です。

ダイバーシティを追求し、多様な人材を求める場合、誰もが異なるニーズを持っていると認識する必要があります。社内の全員を単に同じように扱うのではなく、個々のニーズに合わせて柔軟に扱うのがエクイティの本質です。

組織内の意思決定がフェアかどうかを測定する基準は、「分配的公正」と「手続き的公正」の2つがあります。分配的公正は、従業員が貢献した結果に見合う報酬や権限、評価を得られたとき、従業員が感じる公正さです。一方で手続き的公正は、分配の結果ではなく、その分配の結果を決めるに至ったプロセスに対し、従業員が感じる公正さです。企業はこの2つの基準のバランスに注意しなければなりません。

I:インクルージョン(包括性)

インクルージョン(包括性)とは、多様性を尊重し、一人ひとりが能力や経験、スキルを発揮できる環境を指します。

インクルージョンの推進時は、従業員が「自分は組織に所属していて居場所がある」「自分のアイデンティティをもとに職場の価値に貢献している」と実感していることが重要です。そのためには、多種多様な価値観や考え方を認め、従業員の心理的安全性が高い組織・チーム作りが必要となります。成功すれば、パフォーマンスや生産性の向上だけでなく、離職率を下げ多様性を維持する効果が期待できるでしょう。

▼関連記事はコチラ
心理的安全性とは?チームの生産性を上げる心理的安全性の作り方

DEIの変遷 D&Iとはどう違う?

従来、DEIにE(エクイティ)は存在しておらず、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)と呼ばれていました。

多様性を推進する運動の歴史も踏まえ、DEIと従来までのD&Iとの違い、さらにDEIの次の形とされるDEI&Bという考え方について解説します。

D&Iとの違い

ダイバーシティという概念は、1960年代におけるアメリカの公民権運動(※)がルーツとなります。

※人種差別の撤廃と法の下での権利・自由を求めて起こした社会運動

1964年の「公民権法」施行以降、差別に関する訴訟が増加し、当時の企業は訴訟リスクを回避するためにダイバーシティを受け入れる姿勢でした。時が経ち1990年代からは、多様性の受容が組織に利益をもたらすという認識が広がり始め、ダイバーシティの考え方を発展させたD&Iという言葉が登場します。SDGsが打ち立てられた2015年以降は、Googleなどの外資系企業が筆頭してD&Iにエクイティ(公平性)の観点を加えました。

これにより、「機会を平等にしただけでは、生まれもった環境や身体など、スタートの時点で既に不公平が存在している場合に不平等は解決されない」という問題をカバーできるようになります。個々の差を考慮し、公平性が与えられて初めて、多様性のある組織を作ることができるのです。

DEIの先のDEI&B

DEIの次なる形とされるのがDEI&Bです。

新たに加わるBは「Belonging(帰属)」を意味しており、従業員がありのままの自分として会社に強い帰属意識を持っている状態を指します。インクルージョンとの関わりが深く、働く一人ひとりの「受け入れられている」という感覚、そして成果を上げることへの意欲を高める重要な指標です。従業員のエンゲージメント調査を専門とするGLINT社の調査によれば、強い帰属意識を持つ従業員は、そうでない従業員と比べて6倍以上の成果を出すという結果が出ています。

Bが付与されることで、DEIの取り組みがより従業員に伝わり、組織の一体感が増し、競争優位性が高められる結果が期待できるでしょう。

▼参考資料はコチラ
Why Belonging Is Important at Work: Employee Engagement and Diversity | Glint

企業におけるDEIの具体的事例

では、実際にDEIに取り組む企業はどういった施策を立てているのでしょうか。

アメリカの企業Aと国内の企業Bの2事例に分けてご紹介します。

企業Aの施策

企業AではDEIの重要性が社内全体に浸透しており、とくに多様性を受け入れる上で妨げになりかねない「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」を最小化にする努力を続けています。

取り組み例としては、議論の中で固定観念や潜在的な偏見を見つけた際には誰もが声を上げフィードバックできる仕組みを取り入れたり、評価プロセスでは多様な意見が取り入れられる仕組みを用いたりなどさまざまです。

企業Bの施策

企業Bではエクイティを加えたDEIの推進を掲げ、各種取り組みが実施されています。

主に掲げられるのは、ジェンダー平等、多様な性(LGBTQ+)の尊重、クロスカルチャーの推進、障がい者雇用の推進など、DEIに関連するテーマです。

これらを実現するために、「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」への署名や管理職向け研修、仕事と育児の両立支援、人事制度のグローバル共通化、男性社員の育児休暇・休職の取得促進など、幅広い施策が行われています。

DEIに取り組むことで期待できる効果

DEIは、企業で働く従業員が働きやすい環境で最大限のパフォーマンスを発揮するための考え方です。では、企業のメリットという視点に移すと、DEIに取り組むことで何が期待できるでしょうか。

まず、社会的要請や時代背景にDEIが関連しているという点に着目してみましょう。ダイバーシティの思想は長い歴史を経て少しずつ洗練され、受容され、現在ではSDGsの軸のひとつになっています。

とりわけ日本では高齢化に伴う労働人口の減少、あるいは情報化社会が進んだ結果が生み出した消費者ニーズの多様化なども重要なファクターです。これに対し、多様な人材の登用で労働力確保が可能であったり、多様化するニーズには多様な人材がもたらすイノベーションが応えられたりと、DEIは企業の成長に欠かせないという見方があります。

それだけでなく、CSR(企業の社会的責任)として社外へアピールできるため、DEIは経営戦略の一つとして活用できるということもメリットです。

DEIを取り入れる際の注意点

DEIの思想やメリットを理解できたとして、企業という大きい組織に取り入れる際は注意点があります。

女性社員の管理職登用を推進したいと考える企業を例に挙げてみましょう。その企業が施策として、男女や上司の推薦の有無にかかわらず、管理職への昇格試験を自分で応募する方式に変えたとします。しかし女性社員が将来管理職になることを本人自身も周囲も意識していない風土だったため、女性に特化したセミナーや教育プログラムが積極的に組まれるようになりました。

こうした取り組みは、男性から不平等を指摘されるリスクがあります。つまり、エクイティを目的としたアプローチは「不平等だ」という批判を生むことがあるのです。

DEIが完全に浸透していない限り、「エクオリティ(平等)」に慣れ親しんでいる人にはエクイティの考え方が伝わりにくい場合もあります。

企業は時代の要請やメリットだけを考えてDEIを導入すべきではありません。DEIに取り組む先に企業が目指す組織の姿や、自社が考えるエクイティの定義などについて、情報発信や社員とのコミュニケーションを通じて地道に浸透させていくことが重要です。

まとめ

DEIやDEI&Bはこれからの国際社会に必要となっていく考え方です。

経営手法として効果的だから取り入れるのではなく、本質を正しく理解し、情報発信や社内の対話を行いながらDEIの取り組みを推進すべきでしょう。

DEIの先にある企業ビジョンを練り、それについて対話していく過程を持つ企業こそが、多様性、公平性、包括性のある組織のあり方だと言えます。

公開日: 2022.11.21
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