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ストレスチェックの義務化とは?概要や手順、罰則について解説

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更新日: 2023.07.27
ストレスチェックの義務化とは?概要や手順、罰則について解説
この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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2015年12月から、労働者数50人以上の事業場を対象として「ストレスチェック制度」が法的に義務付けられました。義務化から7年経った現在、企業によるストレスチェックの実施状況はどのように変化しているのでしょうか。

この記事では、ストレスチェックの概要を中心に、実施方法や、企業がストレスチェックを実施しない際の罰則についてわかりやすくご紹介します。

ストレスチェックとは

ストレスチェックを実施する担当者

ストレスチェックとは、事業者が労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的として行う、簡易的なストレス度検査です。調査票の質問項目に答えるだけで、労働者は自分の潜在的なストレスを「見える化」できます。

労働者のメンタル面の不調を顕在化させることで、労働者自身がメンタルの不調を自覚するとともに、一人ひとりに適切なケアを行うために有効であると言えます。

雇用主である事業者は、労働者のストレス軽減に努めることで、ストレスの進行を未然に阻止するとともに職場環境や労働環境の改善を図らなくてはなりません。

ストレスチェックの義務化の内容

ストレスチェックの義務化の内容

厚生労働省の「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」によると、ストレスチェックは、「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担を把握するための検査」と定義され、2015年12月から労働者数50人以上の事業場を対象に検査が義務化されました(労働安全衛生法第66条の10)。※労働者数50人未満の事業場は努力義務。

また、「1年ごとに1回、定期に」1. 心理的な負担の原因 2. 心理的な負担による心身の自覚症状 3. 他の労働者による当該労働者への支援の3項目について検査を行わなくてはならない、とされています(労働安全衛生規則第52条の9)。

さらに検査結果についても、労働者数50人以上の事業場は1年に1度、所轄の労働基準監督署に報告書の提出義務があります(労働安全衛生規則第52条の21)。

なお、同法では、検査で抽出された高ストレス者から申出があった場合、医師による面接指導を実施するのも事業者の義務としています(労働安全衛生法第66条の10)。

▼参考資料はコチラ

厚生労働省「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」

ストレスチェックの対象者と実施者

授業員のミーティング風景

ストレスチェック対象者

常時50人以上の労働者を擁する企業においては、契約社員・アルバイト・パートを含む全従業員がストレスチェックの対象者となります。アルバイト・パートの場合は、1週間の労働時間が正社員の1週間の労働時間数の4分の3以上働いていることが条件です。ただし、社長や役員、契約期間が1年未満、休職期間が1カ月以上の従業員はストレスチェックの対象外となっています。

なお、派遣社員については、原則的に派遣元で行いますが、ストレスチェックの結果は職場単位で実施する必要性から、派遣先でも実施するのが望ましいとされています。また補足として、ストレスチェックは強制ではないため、対象者は拒否も可能です。

▼参考資料はコチラ

厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」

50人未満の事業場について

ストレスチェックの義務化は50人以上の事業場となっており、50人未満の事業場については「努力義務」となっています。

これは、小規模な事業場ではストレスチェックにかかる時間や費用が負担になるからであると考えられますが、ストレスチェックが義務化された背景から考えると実施したほうがよいといえます。

そのため、特に長時間労働や肉体労働といった業務負荷が高い事業場ではストレスチェックを行い、職場環境の改善をすることが重要です。

ストレスチェック実施者

ストレスチェックを実施する者を「ストレスチェック実施者」と言います。医師、保健師のほか、厚生労働省による研修を修めた歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師も実施者になれます。なお、医師、保健師は外部機関への委託や企業の産業医、産業保健師を選任しても問題ありません。

ストレスチェックの内容と高ストレス者の判定

ストレスチェックの内容と高ストレス者の判定

ストレスチェックの対象者と実施者を把握できたら、次にストレスチェックの実施内容と高ストレス者の判定について解説していきます。

ストレスチェックの内容

ストレスチェックで使用する調査票には、「ストレスの原因に関する項目」「ストレスによる心身の自覚症状に関する項目」「労働者に対する周囲のサポートに関する項目」の3領域の質問が最低限含まれている必要があります。上記項目が含まれていれば、事業者がオリジナルの調査票を作成しても問題ありません。

高ストレス者の判定

実施者はストレスチェックの結果により高ストレス者をピックアップしますが、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェックマニュアル」に記載の「全体の(上位)10%程度」というのがひとつの指標となっています。※ストレスチェックでは、結果の合計点数で高ストレス者を選定する方法が取り入れられています。

ストレスチェックで高ストレス者と診断された労働者が医師の面接指導を希望する場合は、面接指導が実施されます。面接後、事業者は医師からその内容をヒアリングし、適切な対応を行います。また、ストレスチェックの結果についての報告書を作成し、労働基準監督署に提出する義務があります。

なお面接指導は、本人が希望しない場合は実施されません。

▼参考資料はコチラ

厚生労働賞「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」

ストレスチェックを実施しなかった場合の罰則

労働者50人以上の事業場では法律で義務化されているストレスチェックですが、実は、検査を実施しなくても特に法的に罰せられはしません。ただしストレスチェックを実施しなかった場合、事業者は安全配慮義務(労働者が健康で安全に働ける配慮)違反に当たるとして、労働契約法の違反となります。当法も違反した際の罰則はありませんが、労働者の健康を守る義務を怠ったとして損害賠償に発展する恐れがあるので注意が必要です。

一方、ストレスチェックを実施しても労働基準監督署に未報告、あるいは虚偽の報告をした場合、労働安全衛生法100条の違反に当たり、50万円以下の罰金を支払わなければいけません。

まとめ

ストレスチェックは、50人以上の労働者を抱える企業に実施が義務付けられています。ストレスチェックを実施することで、労働者の精神的な不調の未然防止のほか、職場環境の改善にもつながります。

現在50人以下の企業であっても、今後事業を拡大してストレスチェックの山に立ちはだかることもあるかもしれません。そうした時に備えて、心の準備を進めておきましょう。

なお、令和4年度からは中小企業や労働保険の特別加入者を支援する団体等が、傘下の中小企業等に対し、産業医、保健師等の専門職の他、産業保健サービスを提供する事業者と契約し、産業保健サービスを提供した際、その費用の一部を助成する「団体経由産業保健活動推進助成金」も開始しています。

助成金を利用して、ストレスチェックを行い、職場環境の改善に努めましょう。

▼参考資料はコチラ

労働者健康安全機構「助成金」

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公開日: 2021.08.16
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