化学物質管理者2026義務化|約2,900物質への対応と講習
- 産業保健
- この記事のポイント
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- ●2026年4月よりリスクアセスメント対象が約2,900物質へ拡大され、これまで対象外だった企業で化学物質管理者の選任が必要になります。
- ●製造事業場(義務)と取り扱い事業場(推奨)で異なる講習時間や資格要件を、一覧表で整理しました。
- ●2026年10月開始の濃度基準値規制に向け、コストを抑えるグルーピング測定手法を提案します。
「2024年に選任義務化への対応を終えたばかりなのに、2026年にはさらに規制対象が拡大するのか」
法改正により、化学物質管理に不安を感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。
2026年4月施行の改正法は、事業者が自らの責任で危険性を判断する自律的管理への完全移行です。対応を誤れば、労働安全衛生法違反による50万円以下の罰金や送検、さらには企業名の公表という経営リスクに直結します。
特に現場で懸念されるのが、厚労省のリスクアセスメントツール(クリエイトシンプル(CREATE-SIMPLE))における入力ミスです。たった一つの設定ミスが、本来必要な保護具を「不要」と判定させ、知らぬ間に法令違反を引き起こしかねません。
本記事では、産業医・労働衛生コンサルタント監修のもと、2026年改正の内容と実務の手順を解説します。複雑な法改正を整理し、コストとリスクを最小限に抑えるためのロードマップとして活用ください。
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化学物質管理者とは|技術的事項を管理する「自律的管理」のキーマン

化学物質管理者とは、2024年4月より選任が義務化された、事業場における化学物質管理の「技術的責任者」です。2024年4月より、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う全ての事業場で選任が義務化されました。
従来、国が細かく規制を決めていた「法令依存型」から、事業者が自ら危険性を判断する「自律的な化学物質管理」へと転換するための中心的な役職です。
組織上の位置付けと主な職務について解説します。
組織上の位置付けと選任単位
化学物質管理者は、工場長などの「総括安全衛生管理者」の指揮下に配置されます。「企業ごと」ではなく「事業場(工場・店舗・営業所)ごと」に選任が必要です。
例えば、本社だけでなく、対象物質を扱う工場ごとにそれぞれ選任しなければなりません(要件を満たせば兼任は可能)。
化学物質管理者の主な職務(7つの義務)
法的に求められる職務は多岐にわたりますが、「大概的な情報伝達」と「社内の安全衛生確保」の2つに分けられます。
1.対外的な情報伝達(取引先や提供先)
- ● ラベル表示・SDS交付:化学品を出荷する際、危険有害性情報をラベルやSDS(安全データシート)で正しく伝える管理を行います。
2.社内の安全衛生確保(従業員)
- ● リスクアセスメントの実施:対象物質の危険性を特定し、リスクを見積もります。
- ● ばく露防止措置の実施:換気装置の設置や保護具の選定など、具体的な対策を講じます。
- ● リスクアセスメント結果の記録・周知:結果を記録(3年以上保存)し、作業者へ周知します。
- ● 労働者への教育:リスクや取扱方法についての教育計画を作成・実施します。
- ● 緊急時の対応:漏洩や労働災害発生時の対応マニュアル策定や訓練を行います。
注意:「化学物質管理責任者」は誤用
求人票や社内規定で「化学物質管理責任者」という名称が使われることがありますが、法令上の正しい名称は「化学物質管理者」です。役割が不明確にならないよう、正しい名称を使用しましょう。
2026年4月施行の労働安全衛生法改正ポイント|化学物質管理者の選任義務拡大

2024年度より段階的な施行が開始されたリスクアセスメント対象物の拡大は、2026年4月が対象拡大の最終施行となります。2026年4月には約850物質が追加され、合計で約2,900物質がリスクアセスメント対象物となります。
改正に伴い、これまで対象外だった事業場でも化学物質管理者の選任が必要になります。さらに、2026年10月からは新たな測定義務のルールも適用されます。
以下の表に、今回の法改正における主要な変更点をまとめましたので、まずは全体像を把握しましょう。
| 変更項目 | 改正前 | 2026年改正後 |
| 対象物質数 | 約674物質 | 約2,900物質 |
| 規制のあり方 | 個別規制型(法令遵守) | 自律的管理(リスクアセスメント重視) |
| 測定方法 | 作業環境測定(場の測定) |
確認測定(個人ばく露測定等)の導入 (※2,026年0月~) |
参考:厚生労働省「化学物質の自律的管理におけるリスクアセスメント対象物質の拡大について」
【背景】2024年4月から段階的に対象物質が拡大
2022年5月31日に「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」が公布され、2024年から2026年の3年間でリスクアセスメント対象物の拡大が段階的になされることが決まりました。
具体的には、以下のように段階的に進められてきました。
- ● 2024年4月施行:234物質が義務対象に追加
- ● 2025年4月施行:約700物質が追加
- ● 2026年4月施行:約850物質等が追加され、合計約2,900物質へ
2026年4月の施行により、GHS分類で「危険性・有害性あり」と区分されるほぼ全ての化学物質が網羅されます。
具体的には、これまで規制対象外だった一般的な洗浄剤や塗料、接着剤なども対象になる可能性が高く、製造業だけでなく、清掃業や建設業など幅広い業種で対応が迫られます。
ただし、製品に含まれる対象物質の含有量が「裾切値(カットオフ値)」未満であれば、リスクアセスメントの対象外となります(例:発がん性区分1の物質なら0.1%未満など)。
まずは、自社にある全ての化学製品のSDS(安全データシート)を入手し、成分表の含有量を確認することが最初のステップです。
参考:厚生労働省「職場における新たな化学物質規制が導入されます」
参考:厚生労働省「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)」
【実務でのポイント】商品名ではなく「CAS番号」で照合する
化学物質の確認において、「シンナー」「洗浄液A」といった商品名だけで判断するのは危険です。商品名だけでは、リスクの高い成分が含まれているか判断ができないためです。
必ず成分情報とSDSの成分表に記載されているCAS登録番号(CAS No.)を確認してください。商品名が異なっていても、CAS番号が同じであれば同一の規制対象物質として扱われます。
具体的には、以下の手順で確認しましょう。
- 1. 手元のSDSから「成分およびその含有量」欄を見る。
- 2. 記載されているCAS番号(例:108-88-3など)を控える。
- 3. 厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の「ラベル・SDS義務対象物質一覧・検索」の検索ボックスまたは対象物質リスト(Excel)で検索をかける。
【今すぐチェック】CAS番号検索・リスト
化学物質管理者の選任要件|資格・講習と兼任ルール

化学物質管理者の選任には、厚生労働省が認可した講習の受講が求められます。
正常事業場では「2日間(12時間)」の専門講習が義務です。一方で、取り扱い事業場では義務はなく推奨とされていますが、法的リスク回避の観点から受講は必要不可欠です。
化学物質管理者の選任要件に必要な、講習と兼任ルールについて解説します。
製造事業場と取扱事業場の違いと講習
化学物質管理者の選任にあたっては、まず自社が製造事業場か取扱事業場かを見極めなければなりません。
以下の表にそれぞれの要件を整理しました。自社がどちらに該当するか、どの講習が必要かを確認してください。
| 区分 | 定義・対象 | 講習要件 |
| 製造事業場 | リスクアセスメント対象物を製品として製造している工場など |
義務 専門的講習(2日間・計12時間以上)の修了が必要 |
| 取り扱い事業場 | 化学物質を原材料や洗浄剤として使用するが、製造は行わない事業場 |
推奨 講習(1日・6時間程度)の受講が望ましい |
取扱事業場には講習の法的義務はありませんが、1日講習の受講を推奨します。
その理由は、「法的リスクの低減」です。
万が一、化学物質による労働災害が発生し、裁判や送検に発展した場合、「推奨されていた講習を受けていなかった(知識不足だった)」という事実は、事業者側の安全配慮義務違反を認定する根拠となり得ます。
従業員のかけがえのない命を守ることはもちろん、会社を法的なリスクから守るための「安価で確実な保険」として、受講を前向きに検討してみてください。
参考:職場の化学物質管理総合サイト「2-1.化学物質管理者の選任」
専門的講習のカリキュラム
専門的講習のカリキュラムは講義もしくは実習形式で行われます。具体的なカリキュラムは以下の通りです。
【リスクアセスメント対象物製造事業場】
| 科目 | 範囲 | 時間 |
| 【講義】化学物質の危険性及び有害性並びに表示等 |
|
2時間30分 |
| 【講義】化学物質の危険性又は有害性等の調査 |
|
3時間 |
| 【講義】化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他の必要な記録等 |
|
2時間 |
| 【講義】化学物質を原因とする災害の発生時の対応 |
|
30分 |
| 【講義】関係法令 |
|
1時間 |
| 【実習】化学物質の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置等 |
|
3時間 |
【リスクアセスメント対象物取扱事業場】
| 科目 | 範囲 | 時間 |
| 【講義】化学物質の危険性及び有害性並びに表示等 |
|
1時間30分 |
| 【講義】化学物質の危険性又は有害性等の調査 |
|
2時間 |
| 【講義】化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他の必要な記録等 |
|
1時間30分 |
| 【講義】化学物質を原因とする災害の発生時の対応 |
|
30分 |
| 【講義】関係法令 |
|
30分 |
資格要件の免除と個人事業者の扱い
特定の専門資格を保有している場合、専門的講習の一部科目が免除されます。免除を受けられる有資格者と科目は以下の通りです。
| 免除を受けることができる者 | 科目 |
| 有機溶剤作業主任者技能講習 鉛作業主任者技能講習及び特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を全て修了した者 |
化学物質の危険性及び有害性並びに表示等 |
| 第一種衛生管理者の免許を有する者 | 化学物質の危険性又は有害性等の調査 |
| 衛生工学衛生管理者の免許を有する者 | 化学物質の危険性又は有害性等の調査 |
出典:厚生労働省「~ リスクアセスメント対象物製造事業場向け ~化学物質管理者講習テキスト」
また、一人親方などの個人事業者についても、今回の改正に伴い、発注者は労働者と同等の保護措置(配慮義務)を講じることが求められます。
そのため、現場に入る個人事業者への情報提供や安全指導も、化学物質管理者の重要な役割となります。
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労働安全衛生規則等が改正!安全措置の対象拡大で企業が取るべき対応は?
2026年4月開始の実務|SDS確認とリスクアセスメント

まずは全ての化学物質のSDS(安全データシート)を入手・更新し、厚生労働省のCREATE-SIMPLE(以下クリエイト・シンプル)などのツールを用いてリスクアセスメントを実施します。判定結果に基づき、保護具の選定を行います。
無料ツール「クリエイト・シンプル」の操作手順
厚生労働省の「クリエイト・シンプル」は、職場のあんぜんサイトから無料でダウンロードできるExcel形式のリスクアセスメント支援ツールです。
基本的な操作は、以下の5ステップで完了します。
- 1. 基本情報の入力:実施場所や作業内容を入力し、評価対象(吸入・経皮・危険性)
- 2. 成分情報の入力:SDS記載のCAS番号と含有量を入力します。GHS分類やばく露限界値は自動で反映されます。
- 3. 作業条件の回答:取扱量、換気状況、作業時間、作業実態に関する質問(Q1~Q15)に選択肢で回答します。
- 4. リスクの判定:「リスクを判定」ボタンを押すと、リスクレベル(Ⅰ~Ⅳ)や規制法(濃度基準値等)への該当有無が表示されます。
- 5. 対策の検討:条件を変更して再判定を行い、リスク低減効果を確認します。適切な保護具の選定支援機能も備わっています。
参考:厚生労働省「クリエイト・シンプルを用いた 化学物質のリスクアセスメントマニュアル」
判定が「安全」から「防毒マスク必須」へ激変する入力ミス
クリエイト・シンプルは選択肢から回答を選ぶだけでリスクを見積もることが可能であり、便利なツールです。
しかし、入力条件を一つ間違えるだけで、リスク判定を誤ってしまうケースがみられます。
特に現場で多発しており、労働基準監督署からも指摘されやすいのが換気条件の過大評価です。
<よくある失敗ケース:塗装作業の現場>
| 現場の状況 | |
| 壁に有圧換気扇がついているだけ(全体換気相当)。 作業者の手元に囲いはない。 |
|
| 誤った入力 | 正しい入力 |
| 【入力】 「換気扇があるから」と誤解し、ツール上で性能の高い「局所排気装置(囲い式)」を選択 |
【入力】 「全体換気装置」を選択。 |
| 【判定結果】 リスクレベル「低」 (対策不要) |
【判定結果】 リスクレベル「高」 (直ちに呼吸用保護具が必要) |
| 【結果】 労働基準監督署の調査で「実態と異なる入力による過小評価」と指摘され、是正勧告を受けることに。 |
【結果】 正しい保護措置を行ったため問題は生じなかった。 |
【解説:法令上の定義を確認した上での実施が不可欠】
多くの担当者が「換気扇がある=局所排気」と誤認しがちですが、法令上の「局所排気装置」とは、発生源のすぐ近く(数cm~数十cm)で吸引するフードやダクトを備えた装置を指します。
壁の換気扇は、あくまで部屋全体の空気を入れ替える「全体換気」に過ぎません。この定義の違いが、判定結果や従業員の健康被害リスクを左右します。
ツールはあくまで計算機です。使用する際は、必ず現場の設備担当者と共に、「この換気扇は、ツールの定義する『局所排気』の要件を満たしているのか?」をダブルチェックしてください。
参考:厚生労働省「化学物質のリスクアセスメント実施支援 CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)」
参考:厚生労働省「クリエイト・シンプルを用いた 化学物質のリスクアセスメントマニュアル」
健康障害防止のための措置と保護具
リスクアセスメントの結果、呼吸用保護具(マスク)が必要と判定された場合、以下の対応義務が発生します。
- ● フィットテスト(1年以内ごとに1回):マスクが顔の正しく密着しているかを測定するテストが義務化されています。医学的研究においても、装着動作そのものがマスクの密着度(フィット係数)に大きく変動を与えることが示されています。高性能なマスクを支給するだけでは不十分であり、フィットテストによる定期的な確認が必要不可欠です。
- ● 健康診断の実施と記録保存:2026年からは、リスクアセスメントの結果、ばく露濃度が基準値を超えた場合などに特殊健康診断等の実施が義務付けられます。診断結果(個人票)は、物質によっては30年間の保存が必要です。
定期的なフィットテストと特別健康診断を行い、従業員の健康リスクを低減しましょう。
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【人事労務担当者向け】特殊健康診断とは?有害物質を取り扱う業務に従事する人の健康を守る
2026年10月施行|濃度基準値と個人ばく露測定

2026年10月より、「濃度基準値」が測定された物質について、労働者が吸い込む量が基準値を超えていないかを確認する確認測定(個人ばく露測定等)が義務化されます。
濃度基準値と確認測定の義務化について詳しく解説します。
【改正内容】個人ばく露測定の適切な実施の担保
2025年に成立した「労働安全衛生法および作業環境測定法の一部を改正する法律」により、2026年10月1日から特定の作業場で「個人ばく露測定」が義務化されます。測定の精度を担保するため、有資格者(作業環境測定士)が実施しなければなりません。
個人ばく露測定とは、作業者の呼吸域に小さいサンプラーを装着し、実際に吸い込んでいる化学物質の濃度を測定する方法です。個人のばく露量を直接的に把握できるため、リスクアセスメントの精度を高める手法とされています。
従来は、作業環境測定による環境状態のリスクアセスメントが義務付けられていました。作業環境測定と個人ばく露量測定の違いは以下の通りです。
| 項目 | 作業環境測定(従来) | 個人ばく露測定 |
| 測定対象 | 作業場の「空間」(A測定・B測定) | 作業者の「呼吸域」(個人サンプリング法) |
| 目的 | 管理区分(第1~3)の決定 | 最大ばく露濃度の把握・基準値遵守の確認 |
| 開始時期 | 実施中 | 2026年10月~(順次) |
今回の改正で、これまで指針で規定されていた個人ばく露測定が義務化され、法的な位置付けが明確化されました。
参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要
【必要性の判断】リスクアセスメントの結果で判断
確認測定は、必ずしも全事業場ですぐに測定が必要ではありません。
2026年10月からは、まずクリエイト・シンプルなどでリスクアセスメントを行い、「ばく露濃度が基準値を超えるおそれがある(または不明)」と評価された場合に限り、実測による確認が義務付けられます。
つまり、事前のリスクアセスメントの精度を高め、適切な対策でリスクを低減できていれば、無駄な測定コストを抑えることが可能です。
【費用・外注】測定コストの目安と「グルーピング」による削減
個人ばく露測定を外部機関へ委託する場合、1検体あたり数万円(分析方法によるが3~5万円程度)の費用がかかります。
全作業者を測定すると莫大なコストになりますが、ガイドラインでは、ばく露が同等と判断された「同等ばく露グループ(SEG)」に対して実施することが認められています。
全従業員を個別に測定することなく、類似した作業環境にいるグループから代表者を選定して測定する方法です。
これを活用することで、コストを最小限に抑えつつ法令を遵守することが可能です。
<コスト試算モデル:小規模な塗装工場(作業者3名)の場合>
- ● 状況:3名の作業員が同じ場所で、同じ塗料(トルエン含有等)を使って塗装作業をしている。
- ● グルーピング適用:3名の作業内容は同一(類似ばく露グループ)とみなせるため、代表者1名のみを測定対象として選定。
- ● 費用概算:1検体(測定+分析)約3~5万円。
- ● 結論:「全員」測る必要はなく、年間数万円程度のコストで法令遵守が可能です。
※上記は概算です。物質の種類や分析手法によって費用は変動します。
参考:日本産業衛生学会「化学物質の個人ばく露測定のガイドライン」
注意点:測定機関の予約が取れない恐れ
測定が必要となった場合、有資格者(作業環境測定士)による個人ばく露測定が求められます。測定は、外部専門機関への委託が一般的です。
しかし、2026年10月の施行により、測定対象となる企業が増えるため専門機関の予約が取れない恐れがあります。
測定が未実施であれば、当然ながら法令遵守ができず、罰則の対象となります。「2026年10月の施行ギリギリに頼めばいい」とは考えず、余裕を持ったスケジュールで動きましょう。
違反時の罰則と企業が負うリスク

選任義務や措置義務に違反した場合、50万円以下の罰金に加え、労働災害発生時には送検や損害賠償請求のリスクがあります。
主なリスクは以下の3点です。
- ● 刑事罰:50万円以下の罰金(労働安全衛生法 第119条等)、是正勧告、書類送検。
- ● 民事責任:安全配慮義務違反による損害賠償請求。
- ● 社会的制裁:企業名公表(いわゆるブラック企業リスト化)、取引停止、採用難。
特に、労働安全衛生法違反で送検された企業は厚生労働省によって公表される可能性があります。経営全体に大きなダメージを与えることになるため、本記事の内容を正しく理解し、法令対応を行いましょう。
まとめ:自律的管理への早期着手が企業を守る
2026年の法改正は、対象物質が約2,900物質へと拡大し、企業による自律的な管理への完全移行を求める大きな転換点です。
「まだ先のこと」と考えていると、膨大なSDSの確認や講習の手配が間に合わず、法令違反のリスクを抱えることになります。できる限り早めに着手し、化学物質管理者の育成を進めてください。
しかし、リスクアセスメントの実施や個人ばく露測定の要否判断など、実務レベルでは高度な専門知識が求められます。現場の担当者だけで全ての責任を負うのは、リスク管理の観点からもおすすめできません。
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