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【ストレスチェック】50人未満でも義務化?産業医と進める義務化に向けた準備

  • メンタルヘルス
更新日: 2025.11.06
【ストレスチェック】50人未満でも義務化?産業医と進める義務化に向けた準備
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この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約2,230ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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これまでは大企業を中心にストレスチェックが義務化されてきましたが、ここ数年は、従業員50人未満の企業でもストレスチェックの実施を義務化する動きが進んでいます。今後の義務化に備え、今から産業医と連携し、職場の健康管理体制を整える準備が重要です

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1. 50人未満でもストレスチェックが義務化される背景

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1-1 ストレスチェックの義務拡大を含む改正労働安全衛生法が可決・成立

2025年5月、ストレスチェック制度の対象範囲拡大を含む改正労働安全衛生法が可決・成立しました。これまでストレスチェックの実施義務は従業員50人以上の企業に限られていましたが、新たに改正法では50人未満の企業にも対象を広げる方向が示されています。改正法の施行期日は202641日とされていますが、ストレスチェックの義務拡大については、50人未満の企業の負担を考慮し、十分な準備期間を確保するため交付後3年以内に政令で定める日とされています。

参考:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

1-2 50人未満の職場でのストレスチェック実施率の低さが課題に

現在の法律では50人未満の企業でのストレスチェックの実施は努力義務となっているため、50人未満の企業での実施率の低さが課題となっています。厚生労働省が公表した「ストレスチェック制度の実施状況(令和4年)」によると、50人以上の企業では実施率が84.7%に達している一方で、50人未満の企業ではわずか32.3%と、大きな差が生じています。この背景には、人手不足や制度への理解不足、実施体制の確保が難しいといった小規模な事業場特有の課題があると考えられます。

参考:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況(令和4年)

1-3 50人未満の事業場に即した実施方法の検討へ

ストレスチェック制度の義務化拡大に向け、現行の50人以上の事業場向けのストレスチェックの実施方法を50人未満の事業場において一律に適用するには、以下のような課題があります。

 

  • ・50人未満の事業場では産業医選任の義務がないため、産業医が不在であることが多く、実施・評価体制が整っていない
  • ・従業員数が少ないことで、個人が特定されやすく、プライバシー保護の観点で課題がある
  • ・人的・経済的リソースに限りがあるため、制度導入や継続的な運用が難しい など

 

これらの課題を受け厚生労働省は、今後50人未満の事業場に即した実施マニュアルの作成と周知を進める方針です。マニュアルでは、簡易的な実施方法や外部支援の活用など、現場の実情に合った対応策が盛り込まれることが期待されます。

企業側は義務化に備えて、マニュアルの内容や最新の動向を常にチェックし、自社に適した実施体制を早めに整えておくことが重要です。

2. 50人未満の事業場でストレスチェックを行うメリット

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50人未満の小規模の事業場でストレスチェックを行うメリットとしては以下のような点が挙げられます

2-1 高ストレス者の早期発見と、メンタルヘルスの不調による休職・離職を防ぐ

ストレスチェックを義務化し定期的に実施することで、高ストレス状態にある従業員を早期に発見でき、適切なフォローや支援を行うことが可能になります。メンタルヘルスの不調へは、初期段階で対応することで重症化を防げるケースが多く、結果的に休職や離職といったリスクを回避することにもつながります。

2-2 ストレスチェックの結果を分析し、職場環境の改善に役立てる

ストレスチェックでは、ストレスの要因や職場環境に関する従業員の認識が数値化されます。これにより、どのような業務や人間関係、組織体制がストレスの原因になっているのかを客観的に把握することができます。小規模な事業場では、個々の声が見逃されやすいため、数値による分析は貴重な改善指標となります。結果をもとに職場環境を整えることで、従業員の満足度や生産性の向上にもつながります。

2-3 企業イメージの向上につながる

ストレスチェックを自主的に導入していることは、従業員のメンタルヘルスケアや働きやすさを重視している企業であるという姿勢を内外に示すことにもつながります。このような取り組みは、従業員の安心感を高めるだけでなく、採用や取引先との信頼関係にも良い影響を与えます。特に中小企業では、こうした健康経営の取り組みが他社との差別化や企業ブランディングにもつながるため、将来的な企業の成長戦略としても有効です。

3. ストレスチェック50人未満義務化に向け企業が行うべき対応

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3-1ストレスチェックを自社で実施するか外部に委託するかを決定する

ストレスチェック制度の義務化に際して、まず決定すべきことは、自社で実施するか、外部機関に委託するかです。自社で実施するメリットとしては、コストが抑えられ、社内状況に応じた柔軟な対応がしやすいことがあります。しかし、実施者(医師・保健師などの産業保健職)を確保する必要がある、実施体制やプライバシー管理に高い配慮が求められるというデメリットもあります。一方で外部委託のメリットとしては、専門家に任せられるため、ストレスチェックを正確・安全に実施でき、法令遵守のサポート・アドバイスが得られるのがメリットです。その分、委託費用がかかる、自社の状況に応じたカスタマイズがしづらい(するとコスト高になる可能性)というデメリットも存在します。

3-2 担当者の選任や実施体制の整備

ストレスチェックの実施には実施事務従事者としてストレスチェックの準備・配布・回収・記録・保存などの役割を担う担当者が必要です。この担当者は、人事労務担当とは分離させることが望ましく、ストレスチェックの結果を知ることができない立場の人である必要があります。

またストレスチェックの実施者は、医師、保健師、看護師(一定条件下)、精神保健福祉士である必要があります。自社にいない場合は、外部との契約を検討しなければなりません。

 

実施フローの整備として以下が挙げられます。

 

  • ・従業員への説明・同意取得
  • ・チェック実施(オンライン・紙媒体)
  • ・高ストレス者への対応(面接指導の申出対応)
  • ・結果の保存とプライバシー管理

3-3 産業保健スタッフとの連携

50人未満の企業では産業医の選任義務がないため、健康管理体制が大企業などと比較すると脆弱になりやすいことがあります。そのためストレスチェックの義務化は、産業保健体制の強化を見直す契機と捉えるべきです。

 

 検討すべき取り組みとして以下のようなものがあります。

 

・地域産業保健センターの活用
無料で保健指導や健康相談が受けられ、ストレスチェック後のフォローでも利用することができます。

 

・非常勤の産業医・保健師と契約
定期的に来社・リモート面談などで健康支援を実施することが可能です。

 

社外EAPサービス(従業員支援プログラム)の導入
心の不調への初期対応、相談受付の窓口整備として有効です。

 

備えあれば憂いなしの観点から、義務化前に外部専門家との連携体制を構築しておくことよいでしょう。

3-4 保存管理の徹底化

ストレスチェックでは、従業員のメンタルヘルスという極めてセンシティブな情報を扱います。とくに小規模企業では、人間関係の距離が近いため、情報漏洩への懸念が高まりやすい点に注意が必要です。

 

 保存管理のポイントとして以下の点をしっかり押さえておきましょう。

 

・実施結果の保存は5年間が義務
労働安全衛生法で、デジタルまたは紙によって5年間のデータ保存が定められています。

 

人事担当者が結果を閲覧することは原則禁止
本人の同意がある場合を除き、上司や人事担当者が個人結果を見ることはできません。

 

・保存先のセキュリティ対策
紙での保存なら鍵付き書庫、デジタルでの保存であればパスワード付きフォルダなど、アクセス制限を設けた保存が必須となります。

 

・社内規定の整備
ストレスチェックの実施方法や、結果の保存方法、結果の利用範囲などを明文化し、従業員に周知しておくことが信頼につながります。

 

これらの対応を一つひとつ丁寧に進めることで、義務化後もスムーズかつ安心・安全なストレスチェック運用が可能になります。必要に応じて社会保険労務士や産業保健の専門家にも相談することが重要です。

4. まとめ:ストレスチェックの義務化拡大に備え、今から無理のない対策を進めよう

従業員数が50人未満の企業へのストレスチェックの義務化拡大に備え、企業は従業員のメンタルヘルス対策を今から無理なく進めることが重要です。早期に体制を整えることで、業務への影響を最小限に抑え、職場環境の改善にもつながります。継続的な対策で従業員の健康と企業の生産性向上をはかりましょう。

公開日: 2025.11.06
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