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二次健康診断とは?健診内容や給付条件、手続きの仕方などについて詳しく解説!

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更新日: 2025.06.11
二次健康診断とは?健診内容や給付条件、手続きの仕方などについて詳しく解説!
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この記事を書いた人:【監修】新井久美子(産業医) 

研修終了後10年以上救急医として従事、自身のライフスタイルの変化があり産業医資格を取得。現在は嘱託産業医として複数社契約し、産業保健分野を中心に活動している。オンライン面談などを活用しつつ、メンタルヘルス対策や健康相談を重視している。

研修終了後10年以上救急医として従事、自身のライフスタイルの変化があり産業医資格を取得。現在は嘱託産業医として複数社契約し、産業保健分野を中心に活動している。オンライン面談などを活用しつつ、メンタルヘルス対策や健康相談を重視している。

職場の定期健康診断で異常が見つかった場合に追加で受けることができる二次健康診断は、生活習慣病などの早期発見・早期治療に役立つとても重要なものです。

今回は、その検診内容や給付条件、手続きの流れについて分かりやすく解説します。

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二次健康診断とは?

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二次健康診断とは、定期健康診断などの結果で異常所見が見つかった場合に、さらに追加で健康診断を受けられる制度です。

二次健康診断と似ている言葉で二次検査があります。両者は同じ意味で使われることもありますが、厳密には健康診断の結果を受けて再検査や追加精密検査を受けることを「二次検査」、労災保険二次健康診断給付を利用して受けた無料の検査を「二次健康診断」といいます。つまり労災保険の対象となる二次健康診断には、検査目的や検査項目などに一定の条件があります。

二次健康診断の概要

二次健康診断とは、定期健康診断などの結果で異常所見が見つかった場合に、さらに追加で健康診断を受けられる制度です。

二次健康診断と似ている言葉で二次検査があります。両者は同じ意味で使われることもありますが、厳密には健康診断の結果を受けて再検査や追加精密検査を受けることを「二次検査」、労災保険二次健康診断給付を利用して受けた無料の検査を「二次健康診断」といいます。つまり労災保険の対象となる二次健康診断には、検査目的や検査項目などに一定の条件があります。

二次健康診断の目的

二次健康診断は労働安全衛生法に基づき、「過労死」などの原因になる脳血管・心疾患に関連する検査項目で異常所見が見つかった場合に、精密検査を受けることで脳血管・心疾患を予防するという目的があります。ただし、あくまで二次健康診断の受診は事業者の義務ではなく、労働者本人の任意の希望によるもので、検査自体を強制することはできません。

二次健康診断等給付を受けるための条件

二次健康診断等給付は、一次健康診断で脳・心臓疾患に関連する一定の項目で異常が見つかった場合に、労働者が請求すると二次健康診断等給付として二次健康診断及び特定保健指導を無料で受けられる制度です。

二次健康診断等給付の給付条件は次の通りです。

1.職場などでの定期健康診断(一次健診)で脳や心臓に関連する以下の全ての項目に異常がみられた場合

  • ・血圧検査
  • ・血中脂質検査
  • ・血糖検査
  • ・腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定

ただし、上記項目について、健康診断実施施設では異常なしと診断された場合であっても、労働安全衛生法に基づき事業場に選任されている産業医が異常の所見を認めた場合には、産業医の意見が優先されます。

2.脳・心臓疾患を有していないこと

一次健康診断等で医師から脳・心臓疾患の症状があると診断された場合は、二次健康診断等給付を受けることはできません。

3.労災保険の特別加入者ではないこと

特別加入者の健康診断の受診は自主性のため、二次健康診断等給付の対象にはなりません。

参考:厚生労働省「労災保険二次健康診断等給付」

二次健康診断等給付の内容

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二次健康診断等給付では、労災保険から二次健康診断と特定保健指導の2つの給付が受けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

二次健康診断

脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査で、以下が含まれます。

・空腹時血中脂質検査
いわゆる脂質異常症の検査項目です。空腹時に血液を採取し、食事による影響を排除した血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)、血清トリグリセライド(中性脂肪)の値を検査します。
・空腹時血糖値検査
空腹時に血液を採取し、食事による影響を排除した血中グルコースの量(血糖値)を測定する検査で、糖尿病の診断に必要な検査項目です。
・ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断で未実施の場合のみ)
食事による一時的な影響が少なく、過去1~2か月における平均的な血糖値を表すとされているヘモグロビンA1cの割合を測定する検査で、糖尿病の診断に必要な検査項目です。
・負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方
負荷心電図検査は、段差の昇降やベルトコンベアの上を歩くなどの運動を行い、心臓に負荷を加えた状態で心電図を計測する検査です。狭心症などの診断に有用で、心臓の評価に必要な検査項目です。
一方、胸部超音波検査(心エコー検査)は、エコー探触子を胸壁に当てて心臓の状態を調べる検査で、痛みなどなく心臓の動きや機能の検査を行うものです。
・頸部超音波検査(頸部エコー検査)
エコー探触子を頸部に当てて脳血管につながる頸動脈の状態を調べる検査です。この検査では動脈硬化の状態を評価することができます。
・微量アルブミン尿検査(一次健康診断の尿蛋白検査で、疑陽性または弱陽性の場合に限る)
尿中のアルブミン(血清中に含まれるタンパク質の一種)の量を精密に測定し、動脈硬化等の影響を受けやすい腎臓の評価をする検査です。

特定保健指導

特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づいて医師や保健師の面接で、以下のような保険指導を受けることができます。

・栄養指導
生活習慣病のリスクが高い人に対し、適切なカロリーの摂取や食生活上の指針についての指導を行う。
・運動指導
医師や保健師、管理栄養士たちが健康課題や生活習慣に応じた運動を促すための指導を行う。
・生活指導
生活習慣病のリスクが高いと判断された人に、生活習慣の改善に向け、飲酒や喫煙、睡眠等の生活習慣に関する指導を行う。

ただし、二次健康診断で脳や心臓に疾患があることが明らかになった場合は、特定保健指導は実施されません。特定保健指導は、あくまで生活習慣病の予防と健康状態の把握を目的としています

二次健康診断等給付を受けるためには

二次健康診断とは_03.jpeg

給付までの流れ

給付の流れは以下の通りです。

Step 1:対象者の給付請求書を作成し、対象となる従業員に渡す(対象:企業)

Step 2:二次健康診断を受診し、病院に給付請求書を提出する(対象:従業員)
二次健康診断等給付は労災病院および都道府県労働局長が指定する病院・診療所(健診給付病院)でのみ受けることができます。必ず事前に確認し、最寄りの健診給付病院を受診しましょう。

Step 3:健診者に二次健康診断の結果を通知し、都道府県労働局に給付請求書、費用請求書を提出(対象:病院)

Step 4:労働局から厚生労働省を通じて病院に給付金が支払われる(対象:病院)
給付金は二次健康診断の受診者に直接支払われるのではなく、現物支給として健診サービスを無料で受けることになります。

給付を受ける上での注意点

二次健康診断等給付を受けるにあたって注意すべき点があります。誤って請求した場合は、二次健康診断等給付を受ける要件を満たしていても労災保険からの給付が行われません。その場合、検査に要した費用は全額受診者が負担することになりますので、二次健康診断等給付の請求を行う場合には、次の点に十分注意してください。

・請求期間
一次健康診断を受診した日から3か月以内に請求する必要があります。やむを得ない事情を除き、請求期間は厳守です。やむを得ない事情とは、天災地変により請求を行うことができない場合や、一次健康診断を行った医療機関等の都合などで、結果の通知が著しく遅れたために請求を行うことができない場合のことを指します。
・給付を受けられる回数
給付は1年度(4月1日から翌年の3月31日までの間) に1回のみです。年度内に2回定期健康診断を受診し、いずれも二次健康診断等給付を受ける要件を満たしていたとしても、給付は1回しか受けることができません。

まとめ: 従業員の健康を守るため、積極的な受診促進を

二次健康診断は労災につながる脳や心臓の異常を、早期発見・予防することを目的としています。企業は従業員の健康を守るために、単に制度を整えるだけでなく、従業員には検診後の早期受診の重要性を伝え、企業側では積極的な受診を促進するための取り組みが求められます。

従業員一人ひとりが健康で、安心して働き続けられる職場づくりのために、二次健康診断の受診率の向上は重要な課題です。積極的に課題解決に取り組んでいきましょう。

公開日: 2025.06.11
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