勤怠管理の目的とは?労務管理との違いや適切な管理方法についても解説

2022年01月13日

勤怠管理の目的とは?

近年、国が推進する「働き方改革」の影響や、感染症の拡大防止を目的にテレワークが普及したことを受けて、国民の働き方に対する考え方は大きく変化しています。

こうしたなか、2019年4月、健康を守るための観点などから「客観的方法による労働時間把握」が改正後の労働安全衛生法で義務付けられました。

そこで今回は、勤怠管理が義務とされた背景や目的、「労務管理」との違い、法的義務を果たす管理方法について解説します。

勤怠管理とは?義務化の背景について

勤怠管理、義務化の背景

勤怠管理とは、使用者である企業が、そこに従事する労働者の出退勤時間や、労働時間・休憩時間、早退・遅刻・欠勤の回数、出勤日数などの情報を記録し、管理することを指します。現在、高度プロフェッショナル制度の対象者を除くすべての労働者に法律で義務付けられています。

これまでも労働基準法が定める事項を満たす上で「事実上必須」と解釈はされていましたが、法的な義務はありませんでした。

そこで、2019年4月施行の働き方改革関連法の一つである改正労働安全衛生法で「客観的方法による労働時間の把握(第66条の8の3)」、すなわち勤怠管理が義務づけられたのです。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省|働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働安全衛生法及びじん肺法の施行等について

勤怠管理の本質的な目的は主に3つ

勤怠管理の本質的な目的

次では、勤怠管理における3つの目的について解説します。

1.コンプライアンス遵守のため

勤怠管理が必要になったのは、見直された労働基準法や労働安全衛生法などへの対応が理由としてあげられます。

2019年4月の働き方改革関連法では、36協定(※)における時間外労働の上限規制が示されたり、有給休暇について年5日以上の取得が義務化されたりと、勤怠管理を基準に企業が配慮すべきポイントが増えています。

※労働基準法第36条に基づき法定労働時間を超えての勤務を命じるために必要な労働協定

こうした法律を遵守できる体制を各社が整え、勤怠管理によってコンプライアンスを徹底することで、社員の健康や対等な労使関係を維持できるでしょう。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

2.従業員への安全配慮義務のため

不適切な勤怠管理は、度を超えた長時間労働につながる恐れがあります。

そして過度な長時間労働は、従業員のメンタルヘルスに悪影響を与えたり、脳や心臓の疾患による過労死を招いたりと、重大な労働災害を引き起こす可能性も考えられます。

安全配慮義務(労働契約法第5条)を果たすため、企業には勤怠管理などにより長時間労働を是正して、労働災害を未然に防ぐ必要があるのです。

3.正しい給与計算を行うため

給与計算を行うために、勤怠管理は不可欠です。

従業員の残業時間を把握して、給与や保険料、税金を計算する必要があります。勤怠管理が不十分だと、正確な給与計算ができません。

また、労働生産性の把握にも役立ちます。経営状況を分析したり、適切な人事評価を実施したりする際に必要になってくるでしょう。

勤怠管理と労務管理は何が違うのか?

勤怠管理と労務管理は何が違う?

勤怠管理と混同されやすいのが「労務管理」です。

次では、この二つの違いについて見ていきましょう。

労務管理とは、従業員の募集や採用から、配置、異動、教育、人事評価、昇給、昇格、退職に至るまでの一連の流れを管理し、適切に働ける環境を整備する業務全般を指します。

具体的には次のような業務内容が労務管理に該当し、勤怠管理も含まれます。

労務管理に含まれる主な業務内容
・勤怠管理
・福利厚生の整備
・保険関連の手続き
・安全衛生管理
・給与計算
・人事関連の規定管理

勤怠管理は、従業員が安心して働くために欠かせない労務管理の一環だということを覚えておきましょう。

勤怠管理に義務付けられる「客観的方法」とは?

勤怠管理に義務付けられる客観的方法

前述の通り、2019年4月の労働安全衛生法の改正で、勤怠管理は「客観的方法」によって実施することが義務づけられました。

客観的方法については、「タイムカードやパソコンのログイン・ログアウトの記録で実施するよう定められています。(改正労働安全衛生法第66条の8の3・第52条の7の3)

また、記録した勤怠管理に関するデータは5年間保存しなければなりません。(改正労働基準法第109条)

タイムカードやICカード、指紋認証などによる打刻システム、PCやタブレットの使用記録を残すシステムなど、勤怠を記録して保管できるような仕組みの整備が必要です。

例外的に自己申告による勤怠管理が可能なケースとは?

タイムカードなどを用いた客観的な勤怠管理が難しい場合、「自己申告」による勤怠管理が認められるケースがあります。

たとえば、オフィスを経由しない客先への直行直帰やテレワークでの出退勤などです。

自己申告での勤怠管理は、適正に記録を行うことを社員に周知した上で、必要に応じて申告内容と実状が合致しているか調査を行うなど、指定の条件を満たす場合のみに認められます。

自己申告制を採用する場合は、社員が申請した情報を上長が承認するといった仕組みを適切に運用し、あいまいな勤怠管理を避けるよう体制を整えましょう。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省|労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
厚生労働省|在宅勤務での 適正な労働時間管理の手引

まとめ

働き方改革関連法によって、企業の適切な勤怠管理が義務化されました。

勤怠管理は、企業のコンプライアンスや安全配慮義務を満たすために必要不可欠であり、従業員の働きやすさ企業イメージにもつながってくるものです。

勤怠管理を徹底するためには、労務のアウトソーシングや勤怠管理システム導入なども検討の上、運用体制を整えることが求められるでしょう。

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