女性は気をつけて 甲状腺の病気

2018年02月20日
喉に手をあて気にする女性

非常に疲れやすくなったり、急な体重の増減、うつ病のように落ち込みがちだったり。さまざまな不快症状が出るのは、もしかすると甲状腺の病気が原因かもしれません。甲状腺の病気は、患者さんの約9割が女性。専門医でないと診断が難しい場合があります。思い当たる症状があれば、まずはお近くの内科を受診しましょう。

【甲状腺の症状・病気について】

甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌する臓器で、首の中心、ノドボトケの下あたりにあり、チョウチョが羽を広げたのような形をしています。正常な場合は触ってもわかりません。それゆえに専門医でさえ触診だけでは判断しづらいため、甲状腺ホルモン値や自己抗体、エコーなどで診断します。甲状腺は、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌する働きを持つ、いわば「元気を出すホルモン」を作る場所。主な病気は「異常」「腫瘍」「炎症」の3つですが、いずれも早期発見治療できれば怖くはない病気です。

1.甲状腺機能(ホルモン値)の異常が原因の病気

◆甲状腺機能亢進症
甲状腺の機能が亢進してホルモンの分泌が過剰になる状態で、そのほとんどはバセドウ病です。20~30代の若い女性に多く、男女比は1:4。主な症状は、1分間に100回を超える頻脈、動悸、急な体重減少、やたらと元気、喉(甲状腺)の腫れ、まれに眼球が飛び出したように見えることです。

◆甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなる状態で、主に橋本病と呼ばれますが、その約半数は治療不要です。中年女性に多く、ホルモン値が低下しすぎるとむくみやだるさ、無気力など、うつ病と似たような症状が出ます。バセドウ病も橋本病も主な原因は自己免疫疾患と考えられています。

2.甲状腺の腫瘍

甲状腺の腫瘍のほとんどが特に治療の必要のない良性ですが、まれに悪性の場合があります。
小さい甲状腺腫瘍の場合、自覚症状はほとんどありませんが、腫瘍が大きくなると、首の腫れやしこりが目立ち、ものを飲み込む時に違和感を感じることがあります。
良性か悪性かは専門医で診断してもらいましょう。

 検査の普及により甲状腺腫瘍の発見が増加
以前と比べると、甲状腺腫瘍は1㎝以下の微小なものが多く発見されるようになりました。これは肺のCT検査や頸動脈エコー、甲状腺の超音波検査の普及、健診の採血での甲状腺ホルモン測定などで見つかるケースが増えたことによります。

3.甲状腺の炎症

「急性化膿性甲状腺炎」、「亜急性甲状腺炎」は、痛みや発熱などを伴う炎症です。先に挙げた橋本病も「慢性甲状腺炎」と言われる炎症ですが、こちらは痛みや発熱はありません。

【治療法は?日常で気をつけておきたいことは?】

◆治療は服薬が中心
バセドウ病の治療は甲状腺機能を抑える飲み薬、橋本病であれば、足りない甲状腺ホルモンの飲み薬が基本です。どちらも、症状やホルモン値が正常化しても主治医の指示に従って経過観察が必要です。
急性化膿性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎も同様に服薬で治療します。

◆甲状腺機能亢進症は激しい運動は控えて
バセドウ病などの甲状腺機能亢進症は、頻脈などで心臓に負担がかかります。ホルモン値が落ち着くまでは激しい運動を控えて、散歩やウォーキングなどの軽い運動にとどめてください。

◆甲状腺機能低下症はヨウ素(ヨード)の摂り過ぎに注意
橋本病などの甲状腺機能低下症の方は、海藻類などのヨウ素(ヨード)を多く含む食品に気をつけてください。ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの原料ですが、甲状腺機能低下症の場合、摂り過ぎはかえって甲状腺の機能を低下させてしまうことがあります。

◆悪性腫瘍は手術で切除します
良性腫瘍であれば基本的には治療の必要はありませんが、細胞診で良性であっても腫瘍の一部に悪性の細胞が潜んでいる可能性もあるので、主治医の指示に従って定期検査を受けましょう。甲状腺がんのほとんどは良性に近い「乳頭腺がん」なので、甲状腺を部分切除する手術で治ります。治癒しにくい甲状腺がんはまれです。