人に言えない尿の悩み

2021年02月02日【監修】日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野  主任教授 高橋悟 先生

加齢とともに増える尿の悩み。ほかの人には相談しにくいものですが、我慢するのはよくありません。セルフケアで症状が改善しないときや日常生活に支障があるときは、医療機関を受診しましょう。

40歳代以降に増える尿トラブル

 厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」によると、男性も女性も、40歳代以降になると何らかの尿の悩みを抱える人が増えてきます。
 尿の悩みで最も多いのは、男女とも「頻尿(尿の出る回数が多い)」。続いて多いのは、男性では「尿が出にくい・排尿時痛い」、女性では「尿失禁(尿がもれる)」となっています。



昼間8回以上、夜間2回以上トイレに行くのは「頻尿」かも

 1日当たりの正常な排尿回数の目安は、昼間
は4~7回程度、夜間は0~1回程度です。
 これより回数が多くても、本人が困っていな
ければ治療の必要はないでしょう。正常の範
囲内でも、本人が排尿回数が多く日常生活に
支障があると感じていれば、頻尿といえます。  
 頻尿の原因は、過活動膀胱※1前立腺肥大症※2
膀胱炎などの尿路感染症、心因性などさまざ
まです。
※1 過活動膀胱:意思とは関係なく膀胱の筋肉が勝手に収縮し、急に強い尿意に襲われる。
※2 前立腺肥大症:前立腺は男性特有の臓器で、膀胱の下にあり尿道を囲んでいる。前立腺が肥大し尿道が圧迫されることで、尿が出にくい、頻尿などの症状が現れる。

意思とは関係なくもれる「尿もれ」

 尿もれとは、意思とは関係なく尿がもれることで、医学的には「尿失禁」といいます。代表的な尿もれには次のようなものがあります。

  •  ●腹圧性尿失禁
  •  せきやくしゃみをしたときなど、おなかに力が入
  • ったときに尿がもれる。膀胱や尿道などを支える骨
  • 盤底筋のゆるみが主な原因で、女性に多い。
  •  切迫性尿失禁
  •  突然強い尿意が起こり我慢できない。過活動膀胱、
  • 前立腺肥大症、膀胱炎や膀胱結石などの膀胱の病気、
  • 薬の副作用などが原因。
  •  ●溢流性(いつりゅうせい)尿失禁  
  •  排尿したくても尿が出にくいのに、少しずつ尿がもれてしまう。男性に多く、主な原因は前立腺肥大症。女性の場合は、膀胱や子宮などが下がって腟から出てくる骨盤臓器脱の人に多い。


軽い症状ならセルフケアで改善も

 軽い頻尿や尿もれは、セルフケアで改善できる場合があります。セルフケアでも改善しないときや日常生活に支障があるときは、泌尿器科を受診しましょう。

尿トラブル改善のためのセルフケア

骨盤底筋を鍛えるトレーニング
 仰向けに寝て両脚を少し開いて立てる。
肛門と腟を締めて5秒間キープしたらゆる
める。息を止めずに10回繰り返す。
男性は、肛門を締め陰のうを引き上げる)


 膀胱訓練  
 尿意を感じてもすぐにはトイレに行かず、膀胱にたまる尿量を増やす。最初は5分程度我慢することから始め、徐々に我慢する時間を長くしていく。最終的な排尿間隔の目標は2~3時間。



座りっぱなしを避ける

 骨盤底筋の衰えや下半身の血流悪化を避ける
ため、デスクワークの人は時々いすから立って
歩いたりストレッチをする。長時間車の運転を
する人も、定期的に車を停めて車外に出て体を
動かす。