HSP(繊細さん®)が働きやすい職場を作るには?人事・総務ができる対策や対応を解説

2022年08月03日

あなたの働く職場に「HSP(Highly Sensitive Person)」の従業員はいませんか?もしいたとして、HSPが働きやすい環境をつくるための適切な配慮はできていますか?

HSPをなんとなく「繊細な人」と認識しているだけという人も多いのではないでしょうか。

HSPの従業員を把握している場合はもちろん、自分の職場にはいないと思っていても、本人が申告していない場合や、自身がHSPだと気がついていないケースもあります。

当記事では、HSPが持つ4つの特徴や、HSPにストレスを感じる職場環境や働きやすい職場の特徴、それらを踏まえて人事・総務担当者ができる環境整備や対応について解説します。

HSPとは?「繊細さん®」の特徴を理解しよう

HSP(Highly Sensitive Person)とは、繊細で敏感、感受性が豊かな気質を持った人です。この気質は先天的に生まれ持ったものとされています。

他の人と比べて熟慮したり、必要以上に他人に気を遣って人間関係に疲弊していたりといったような自覚がある場合は、HSPである可能性があります。集団行動が苦手だったり、定期的に一人の時間が必要だと感じたりするのも特徴の1つです。

HSPは他の人が気にならない刺激にも敏感に反応してしまうため、社会での生きづらさやストレスを感じやすい傾向にあるのです。

HSPであるかどうかを判断する明確な基準はありませんが、HSPの特徴を理解することで自分が当てはまるかどうかを判断することはできます。そこで、HSPについて理解を深めるために、HSPのもつ「DOES(ダス)」と呼ばれる4つの特徴について解説します。

【Depth of processing】物事を深く考える

HSPは、ひとつの物事を深掘りして推察したり想像力を働かせたりする能力に長けています。

一方で、あれこれと考えすぎるあまり他のことに手がつかなくなったり、行動に移すまでに時間がかかったりするケースもあります。

特に、対人関係では自分の発言内容や相手の感情について思慮し過ぎてしまい、気疲れする人が多いのも特徴です。

【Overstimulation】刺激に過剰反応する

HSPは感情が非常にデリケートであるため、些細なことに気づき、影響を受けやすい特徴があります。

そのため、人ごみや騒音などで強いストレスを感じたり、何気ないひと言に深く傷ついてしまったりする場面が多くなりがちです。

こうした特徴から、HSPは静かな空間や1人の時間を好む傾向があります。

【Emotional reactivity and Empathy】共感力が高い

HSPは共感力が高く、感情移入しやすい特徴があります。

場の雰囲気や相手の気持ちを敏感に察する能力に長けているため、周囲から気が利く人と評価されやすいでしょう。

しかし、共感力の高さゆえに周囲の人の気持ちに飲み込まれやすい一面もあります。

たとえば、近くで怒られている人がいると自分のことのように落ち着かなかったり、落ち込んでいる人の雰囲気につられてしまったりと、人一倍ストレスを抱えやすいのです。

【Sensitivity to Subtleties】敏感な感覚を持つ

HSPは五感が非常に敏感であるため、人間関係だけでなく、周囲の音や光、においなど、さまざまな外部環境を気にしてしまいます。

たとえば、時計の秒針や周囲の人の話し声といった小さな音が、目の前のやるべき内容に集中できなくなるほど気になってしまうのです。

▼参考資料はコチラ
繊細の森「繊細さん®(=HSP(Highly Sensitive Person))とは」

HSPがストレスを感じる職場環境とは?

HSPについて理解を深めたところで、次にHSPがストレスを感じてしまう職場の特徴について見ていきましょう。

次のような特徴に当てはまる職場では、HSPの従業員の離職を招いてしまうおそれがあります。

ノルマや目標の達成が求められる

営業職のようにノルマや目標の達成が求められる職場環境は、HSPに過度なプレッシャーを与えてしまうでしょう。

ノルマや目標が達成できなかった際に自分を追い込んでしまったり、競争が激しければその環境そのものをストレスに感じたりする可能性があります。

余裕がなくギスギスした雰囲気

業務量の多さなどで忙しく余裕のない職場は、ギスギスした雰囲気に陥りがちです。

こうした職場では、周囲の負の感情や言動に影響を受けやすいHSPにとって非常にストレスになります。

ただでさえ忙しい職場で集中力を欠いてしまうと、ミスや作業遅延につながり、悪循環となってしまうでしょう。

マルチタスクが求められる

HSPは1つの物事を深く考え、そこに向けて集中するのは得意ですが、複数の業務を同時並行して遂行するようなマルチタスクが苦手なタイプが多いとされています。

そのため、並走する業務の多さに比例して、それぞれの精度や生産性が落ちてしまう可能性があります。

それが職場全体の問題になったり、HSPの従業員本人が自分の能力に自信をなくしてしまうのは大きな損失です。

スケジュールやタスクが流動的

スケジュールやタスクが流動的で、スピード感を求められるような職場もHSPには向きません。

短期間で多くのタスクが発生し、スケジュール調整がしにくいような仕事では、自分のペースをつくるのは困難です。

HSPはペースを乱されると特にストレスを抱えてしまい、十分なパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

不特定多数の人と関わる

接客業のような、不特定多数の人と接点をもつような仕事も、HSPにとってストレスになりえます。

必要以上に人の顔色を伺ってしまうのがHSPの特徴であるため、初対面や関わりの浅い人であればなおさら気疲れしてしまうこともあるでしょう。

HSPの長所を活かせる!働きやすい職場とは?

それでは反対に、HSPが長所を活かして働ける職場・仕事とはどんな環境なのでしょうか。

先に述べた「DOES」を踏まえながら見ていきましょう。

正確さ・緻密さが求められる

HSPは物事を深く考え、細かな部分に気がついたり慎重に仕事を進められたりする性質をもっているため、正確さや緻密さが求められる仕事には適任です。

数字の正確性が求められる経理や、正確なコーディングが求められるプログラマー、緻密なデータ分析を必要とするマーケティング業務などが向いていると言えるでしょう。

クリエイティブな思考が求められる

HSPは共感力が高く、感受性が豊かで独創的なアイデアをもつ人が多い傾向にあります。

また、自分の興味がある分野に深く没頭できる側面もあるため、クリエイティブな仕事に向いています。

たとえば、創造力を活かせるデザイナーやライター職、発想力を必要とされる商品企画といった仕事が適しているでしょう。

心理的安全性が確保されている

心理的安全性とは、組織の中でミスを恐れず、自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態です。

穏やかな人が多くチームの雰囲気が良い環境や、発言しやすい雰囲気を仕組みとして取り入れている環境がそれに該当します。

HSPは自分の言葉や考えが周囲からどう見られるかであったり、周囲からの言葉・態度に敏感であるため、心理的安全性の高い職場ではより力を発揮しやすいでしょう。

▼関連記事はコチラ
心理的安全性とは?チームの生産性を上げる心理的安全性の作り方

スケジュールやタスク量を自分で調整できる

仕事のスケジュールが長期的で、その時々のタスク量を調整できる職場環境では、自分のペースで仕事ができる安心感が生まれます。

ペースが乱れるとストレスの悪循環に陥りやすいHSPにとって、スケジュールの調整がきく環境は適していると言えます。

HSPが働きやすい職場にするために!人事・総務ができる4つのこと

HSPが働きやすく、仕事で高いパフォーマンスを発揮するうえでは、本人の周囲を取り巻く環境が重要になります。

そこで、HSPが働きやすい環境をつくるために人事・総務担当者ができる4つのポイントについてご紹介します。

1. 職種やチーム単位での配置転換

各従業員が属している職種やチームが、個人の適性に合っていないケースはしばしば発生します。

人事・総務担当者はメンバーが配属先のポジションで充分に能力を発揮できているか定期的にヒアリングしましょう。

アンマッチが発覚した場合は、異なる職種へのキャリアチェンジや、異動を行えば改善する場合があります。

2. 多様な働き方の提案

近年は働き方改革により、リモートワークやフレックスタイム制など、多様な働き方を提案しやすい社会となっています。

こうした自分のペースで仕事をしやすくする制度の導入も、従業員のストレス軽減に有効です。

3. 定期的なストレスチェック

HSPに関する知識がないなどの理由で自身がHSPであるということに気づかず、HSPの気質のために知らず知らずの内に苦しんでいる従業員もいるはずです。

そこで、定期的にストレスチェックを行い、人事・総務側が従業員のストレス状態を把握できるようにすると良いでしょう。

従業員本人が自分のストレス状態に気付く機会にもなります。

4. 相談窓口の設置

日々のストレスや不安に関して、気軽に相談できる窓口の設置・周知も重要です。

また、こうした相談窓口には、産業医を配置すると大きな効果が期待できます。

産業医にはメンタルヘルスに関する相談もできるため、産業医の役割を改めて確認し、従業員の健康管理に活かしましょう。

産業医を設置していない企業は、導入について検討してみてはいかがでしょうか。

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産業医とは?役割や業務内容をわかりやすく解説

まとめ

HSPは病気ではなく、個性であり気質である点にまず目を向けましょう。

HSP自身や周囲の人間が、その気質がもつ特性や特徴について理解を深め、それを踏まえたコミュニケーションや雰囲気づくりができると理想的です。

人事・総務担当者の立場においても、HSPの社員が働きやすい職場を作るために、彼らの長所を活かせる職場環境について検討していくことが重要となります。