健康診断の事後措置はなぜ大切なのか?

2022年05月25日

従業員の健康状態を把握するために欠かせない健康診断。健康診断で「要観察」や「要医療」と診断された場合、その従業員に対して事後措置が行われます。事後措置とは、企業が産業医など医師の意見を聞きつつ、今後の就業について適切な措置を行うことを指します。

それでは、どのような流れで事後措置は行われるのでしょうか。また、具体的にどのような措置が行われることがあるのでしょうか。本記事では、従業員の健康を守るために大切な健康診断の事後措置の流れや具体的な事例についてご紹介します。

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健康診断の事後措置とは?

健康診断後の事後措置とは、一般あるいは特殊健康診断や、自発的健康診断の結果、異常所見が認められた従業員に対して行われる対応のことです。事業者(企業)が医師の意見を聞いた上で必要と判断した場合に、今後の就業について適切な措置を相談・実施します。

健康診断実施後の事後措置までの流れ

それでは健康診断を行った後に、どのような流れで事後措置が行われるのでしょうか。具体的な流れを解説します。

1.健康診断結果の受領

健康診断が終わると、企業は健康診断結果を受領します。そして、健康診断個人票を作成し保存するとともに、労働基準監督署長などへ健康診断結果を報告します。

2.健康診断結果の従業員への通知

健康診断結果を従業員へ通知します。診断区分が「要観察」や「要医療」の場合には、従業員に対して、医師・保健師による保健指導あるいは受診推奨が行われます。とくに健康を保つ必要があると判断された従業員に対して行われることが多いでしょう。保健指導では、たとえば食事内容の改善や、飲酒習慣や運動についてアドバイスを受けるケースがあります。

3.就業に関する医師の意見聴取

50人以上の企業の場合は産業医、50人未満の企業の場合は地域産業保健センターの登録産業医などに、診断区分が「要観察」や「要医療」の従業員に対する就業に関する意見を仰ぎます。これは、企業に課せられた義務の1つです。従業員の健康を守るために、産業医などによる就業判定を受けることが重要とされています。

具体的には、健康診断の結果をもとに、従業員が通常勤務、就業制限、要休業のうち、どの就業区分に該当するか産業医に判定してもらいます。

就業区分は、以下のように定められています。

  • ・通常勤務:これまで通りの勤務を行うこと
  • ・就業制限:労働時間の短縮や、作業内容の転換など何らかの制限を設けること
  • ・要休業:療養の必要があるため、休暇や休職などによって一定の期間勤務を行わせないこと

就業内容や勤務時間などに何らかの措置を講じる必要があるかなど、措置の必要性の有無とともに、措置の内容について医師に意見を聞きます。ただし、産業医による就業判定を受けた後に従業員からも意見を聞き、最終的にどのような措置を行うかについてはあくまで企業が決定します。

4.従業員と適宜面接

就業区分のうち、就業制限あるいは要休業と判定された場合には、必要に応じて企業は従業員の面接を行います。そこで従業員の健康状態や意見などを把握した上で、その後の措置を決定します。

5.事後措置の実施

医師と従業員の意見をもとに、就業上の措置を決定します。具体的には、作業内容を変更したり労働時間を短縮したりすることがあるでしょう。また、作業環境を改善したり設備を整備したりするケースもあります。さらに、衛生委員会への報告・審議を実施することもあります。なお、実施する事後措置の内容が決定したり、事後措置を行ったりした後には、企業は、産業医に対して、その内容を提供しなければならないと定められています。

事後措置の例

実際にどのような事後措置が行われることがあるのか、いくつか例を挙げて説明します。

作業内容の変更・労働時間の短縮

1つ目は、作業内容の変更や、労働時間の短縮です。作業内容の変更では、たとえば、重い荷物を運搬する作業を行っていた従業員を、より身体的な負担の少ないラベル貼り等の作業に転換するケースが考えられます。労働時間の短縮では、8時間勤務を6時間勤務に変更したり、深夜に業務を行う回数を減らしたりするケースなどがあるでしょう。

作業環境の改善・設備の整備

2つ目は、作業環境の改善や、設備の整備です。まずは作業環境を確認し、改善できる点がないか確認します。その上で、より負担が少なくして健康を守ることができるよう改善策を講じることがあります。たとえば、従業員が手動で荷物の運搬を行っていた場合に、より身体的負担を軽減するために、搬送機を利用することができるよう整備するケースなどが考えられるでしょう。

衛生委員会への報告・審議

3つ目として、産業医の意見を衛生委員会へ報告したり審議したりすることがあります。なお、該当する従業員が企業内で特定されることがないように、必要に応じて情報の集約や加工などを行った上で報告します。

事後措置の不適切な例

事後措置では、従業員にとって不利益な取り扱いをしてはならないと定められています。たとえば、体調不良を理由に解雇したり、産業医が「配置転換で十分」という意見であるにもかかわらず、企業が一方的に休業を要請したりするケースがこれに当たります。このように、従業員の健康を確保するために必要な範囲を超えた取り扱いを行うことは適切ではありません。不適切な措置を講じないよう、しっかりと医師の意見を聞くことが大切と言えるでしょう。

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まとめ

健康診断の事後措置は、従業員の健康を守るために欠かせないものです。健康診断で何らかの異常が見つかった場合には、産業医の意見を聞きつつ、健康を守るために必要な措置を講じる必要があります。ただし、健康を守るという範囲を超えて不利益な取り扱いを行うことがないよう注意が必要です。そのためにも、産業医との連携が大切です。しっかりと医師と意見交換をしながら、適切な措置を決定するようにしましょう。

事後措置によって、従業員の健康を守ることが期待できます。今回ご紹介した事後措置の流れや事例を参考に、健康診断を行った際にはしっかりと事後措置を行うことが大切です。必要に応じて就業環境や内容を見直しながら、従業員の健康を守るために努めましょう。

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