知っておきたい大人の発達障害

2020年03月31日【監修】南青山アンティーク通りクリニック院長 福西勇夫 先生

 近年、仕事や人間関係がうまくいかず、「もしかして発達障害では…」と医療機関を受診する大人が増えているといわれています。発達障害のある人、発達障害が疑われる人、周囲の人は、発達障害の特性を正しく理解し、困りごとを改善するために工夫することが大切です。

発達障害は先天的な脳機能の障害によって起こる

 発達障害とは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるために生じる特性のことです。発達障害にはいくつかの種類があり、コミュニケーションをとることが苦手、興味や関心に偏りがある、注意力が欠如しているなど、さまざまな特性があります。同じタイプの発達障害でも特性の現れ方は個人差が大きく、複数のタイプを合併することもあります。
 また、発達障害の傾向があるものの診断基準を満たさない、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。


■代表的な発達障害のタイプ

子どもの頃は見過ごされ、大人になって初めて発達障害に気づくことも

 発達障害は生まれつきの障害なので、多くは子どもの頃にその特性が現れます。しかし、なかには発達障害の特性が目立たなかったり、周囲の環境や人間関係によって特性がカバーされていて、子どもの頃には発達障害が見過ごされているケースがあります。
 大人になって環境が変わったり社会的な責任が大きくなったときなどに、人間関係がうまくいかなかったり、仕事でミスが重なるなどして、発達障害を疑って医療機関を受診する人が増えているといいます。また、発達障害によって生きづらさを感じて自己肯定感が低くなり、うつ病や不安障害などの二次的な症状が起こることもあります。

特性を理解し、困りごとを改善する方法を考えよう

 一方、発達障害の特性を生かしてさまざまな分野で活躍している人もいます。発明家のエジソンや、相対性理論で知られる科学者のアインシュタインなどは、発達障害があったのではないかといわれています。
 大切なのは、自分の特性やそれによって起こしやすいトラブルを正しく理解し、困りごとを改善するために工夫することです。また、職場に発達障害のある人がいる場合、上司や周囲の人が指示の出し方を工夫したり環境などを見直すことで、仕事がスムーズに進む可能性があります。発達障害の特性は一人ひとり異なるので、その人の特性や職場に合った方法を見つけましょう。

発達障害のある人が自分でできる工夫の例

発達障害のある人が自分でできる工夫の例 アラームやタイマーで時間を区切る

● アラームやタイマーで時間を区切る

一つのことにのめりこむと何時間でも作業を続けてしまう場合は、アラームやタイマーをセットして作業時間を区切る。

● 物の量や置き場所を決める

忘れ物やなくし物が多い場合は、持ち物の数はできるだけ少なくし、物の置き場所を決めて使ったら必ず元の場所に戻す。

● ボイスレコーダーやスマホを活用する

メモを取ることが苦手な場合は、ボイスレコーダーで録音したり、スマートフォンで写真や動画を撮って記録する。

発達障害のある人に職場でできるサポートの例

● 具体的に指示をする

「だいたい」「できるだけ早く」「適当に」などのあいまいな指示では伝わらない場合は、数値や時間などを具体的に指示する。

● 指示は一つずつ出す

一度に複数の作業を指示すると本人が混乱する場合は、一つの作業が終わってから次の指示を出す。

● 集中しやすい環境を整える

音や光に過敏な場合や気が散りやすい場合は、耳栓の使用を認める、ブラインドを閉める、デスクをパーテーションで仕切るなど、集中しやすい環境を整える。

発達障害かもしれないと思ったら

 発達障害の診断は精神科や心療内科で行われます。しかし、大人の発達障害に詳しくない場合もあるので、受診前に「大人の発達障害を診断できるか」と問い合わせるのも一つの方法です。また、各都道府県・指定都市には、発達障害について相談できる「発達障害者支援センター」が設置されており、発達支援や就労支援なども受けられます。発達障害者支援センターの所在地や電話番号は下記のホームページに掲載されています。

国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センター http://www.rehab.go.jp/ddis/