果物アレルギーと花粉症の意外な関係

2020年02月07日国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長
海老澤元宏 先生

特定の果物を食べて、唇や口の中などがかゆくなったり、痛くなったりしたことはありませんか? それはもしかしたら、食物アレルギーの一種「口腔アレルギー症候群」かもしれません。

果物を食べると口の中がかゆくなる「口腔アレルギー症候群」

口腔アレルギー症候群

食物アレルギーの原因として鶏卵や牛乳、小麦などがよく知られていますが、近年、果物によるアレルギー症状を訴える人が増えているといいます。
果物アレルギーは、「即時型」と「口腔アレルギー症候群」に大きく分けられます。
 即時型は、原因となる果物を摂取してから2時間以内に、皮膚や粘膜、消化器、呼吸器などに症状が現れます。特に乳幼児に多くみられ、成長するにつれて治る場合もあります。
一方、口腔アレルギー症候群は食後5分以内に症状が現れることが多く、唇や口の中、のど、耳の奥などがかゆくなったり、痛くなったりします。幼児から大人にかけて幅広い年代にみられます。



果物のたんぱく質が花粉症のアレルゲンと似ている

口腔アレルギー症候群は花粉症の人に多いとされ、花粉症患者の増加に伴い、口腔アレルギー症候群の患者も増加傾向にあるといわれています。アレルギーの原因となるたんぱく質を「アレルゲン」といいますが、果物や野菜には、花粉症のアレルゲンと似た構造のたんぱく質が含まれている場合があります。こうした果物や野菜を花粉症の人が口にすると、体が花粉のアレルゲンと似ていると認識し、アレルギー症状が現れると考えられています。
 例えば、りんごやももなどのバラ科の果物にはシラカンバやハンノキのアレルゲンと似た構造のたんぱく質が含まれているため、北海道に多いシラカンバ花粉症の人は、りんごやももなどを食べると唇や口の中がかゆくなったり、痛くなったりする可能性があります。



主な花粉とアレルゲンの構造が似ている果物・野菜など

多くは軽症だが、気になる場合は受診を

口腔アレルギー症候群の原因となる果物や野菜のアレルゲンは熱に弱く、多くの場合、加熱加工されたジャムやジュース、缶詰などを摂取しても症状は出ません。また、アレルゲンは消化酵素に弱く胃腸で分解されるので、通常は軽い症状で済みます。しかし、一度に大量に摂取したときなどは全身症状が誘発される場合があるので、気になる症状がある人は、医療機関で果物や野菜にアレルギーがあるか調べてもらうと安心でしょう。